Music's Gonna Set Me Free...
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「ジャズ・ロックの華麗なる世界」久々の10回目にご紹介するのは、イタリアの4人組ETNAが'75年にリリースした唯一のアルバムです。結成当初はFLEA ON THE HONEYと名乗っており、その後FLEAと改名していますが、その頃リリースした2枚のアルバムはブリティッシュHR色の強い音楽性だったようです(僕は未聴)。その後またもETNAと改名してリリースした本作は、それまでのHRスタイルとは異なり、真っ向からRETURN TO FOREVERに勝負を挑んだかのようなテクニカル・フュージョンに音楽性を一変させました。楽曲面ではファンキーなスタイルが主体となっていますが、HR時代から引き継いだ音数の多さと重量感を伴ったリズム・セクションにより、パワーとスピード感が加味されているのがロック・サイドのリスナーにとってはポイント高いのではないでしょうか。アンサンブルを重視したキャッチーな曲調ながら、いかにもフュージョン的なメロウさよりもプログレやHR的な緊迫感が際立ち、そこにイタリアらしい叙情性がアクセントをつける、この1枚で終わってしまったことが惜しまれる聴き応えのあるアルバムです。

解散後、アゴスティーノ・マランゴロ(Ds)はGOBLINに加入。その縁で本作はGOBLINファミリー・シリーズの1枚として今年1月にベル・アンティークから紙ジャケSHM-CDで再発されています。
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先頃発売されたEL&P「Brain Salad Surgery」が表紙の「ストレンジ・デイズ」誌8月号を読んでいてふと目に止まったのが「ウィル・オウズリー」の文字。そういえばオウズリーは今何やってるんだろうか、と思って読み進めていくと、なんと4月30日にナッシュヴィルの自宅で自殺した(享年44歳)という文章で締められており、このエントリーを書いている今もとてつもないショックを受けています。自殺の理由は明らかになっていないためこれ以上の言及は避けますが、なんともやりきれない気分でいっぱいです。プログレとメタルとクラシック・ロックとニッチ・ポップがひとつの誌面に同居する「ストレンジ・デイズ」の編集方針同様、僕もメタルやプログレの他にJELLYFISHMIKATHE MONTROSE AVENUEなどのポップ・ミュージックを好んで聴いていますが、その中でウィル・オウズリーがOWSLEY名義で'99年にリリースしたセルフ・タイトルの1stアルバムは個人的にはJELLYFISH「Spilt Milk」に並ぶオールタイム・フェイヴァリットということで、今回は彼への追悼にかえてこのアルバムを取り上げたいと思います。

オウズリーは地元の友人であったベン・フォールズ(BEN FOLDS FIVE)のツテで知り合ったミラード・パワーズと共にTHE SEMANTICSを結成し、'93年にGeffenと契約して「Powerbill」というアルバムを制作しますが何故かお蔵入りとなり、解散後の'96年に日本のみでリリースされました。その後多くのセッション・ワークをこなして得た資金でスタジオを作り、2年もの歳月をかけて制作されたソロ・デビュー作となる本作は、日本盤の帯に書かれた「今世紀最後のメロディ・メイカー」というキャッチが伊達ではない、珠玉のメロディが満載された捨て曲なしの傑作といえるものです。THE SEMANTICS時代の持ち曲のリメイクとなる"Coming Up Roses""The Sky Is Falling"も含め、奇をてらうことなく、ただひたすらに良い曲を書くという一点のみにこだわった姿勢が何よりも素晴らしく、特に"Sentimental Favorite"は歌詞も含めて泣ける、梅雨時の憂鬱な気分に聴くには最適の1曲です。他にはラストの"Class Clown"も気に入ってよく聴いていました(どちらもYouTubeに動画が上がってないのが残念!なお日本盤にはこの後ボーナスとしてRAMONESへのトリビュート・ソングだという"Mess With Me"を収録)。彼の「最高のメロディが見つかるまでレコーディングしない」「1年以上かけて歌詞を書く」という徹底した完璧主義は、次作となる「The Hard Way」のリリースまで実に5年ものスパンが空いたことでもわかるでしょう。その次作は少しばかりダークでメロウな色合いが増してはいたものの、メロディの輝きは随所に光っていました。それからはや6年、そろそろ新作が出てもいい頃ではないかと思っていたところにこの悲報。派手さはないけれども確実に聴く者の心を捉える、ニッチ・ポップを絵に描いたような存在であったウィル・オウズリーの死はポップ界における多大な損失といっても過言ではないでしょう。

Rest In Peace, Will Owsley...



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RATING: 8/10

2年ぶりの7作目。「Dark Ages」以降のスラッシュ・メタル回帰路線は今作でも更に進行、スラッシュを飛び越えてハードコアの領域へも進みつつあり、無駄な展開を省いてより焦点を絞り込んだ音楽性からはもはや初期のトライバル・ビートやワールド・ミュージック色はもはやなかったことになっているかのような感もあります。そのため、曲によってはCAVALERA CONSPIRACYとの差別化がますます図れなくなっており(もっとも、そのCONSPIRACYは来年リリースの新作で更にシンプルなスタイルに移行するようですが)、そのあたりに物足りなさを感じる人が多そうな気配を漂わせます。音自体から伝わる説得力はさすがのものですし、マーク・リゾのギター・プレイが前作より大きくフィーチュアされているのは嬉しいですが、音楽性そのものはSEPULTURAがスラッシュからトライバル・ビートへ移行した道のりを逆行しているのが良くも悪くも興味深いといえるでしょう。それにしても、前作の"Warmageddon"といい、今作の"Vulture Culture"といい、明らかにタイトルが先に浮かんで後から歌詞を作ったかのような頭の悪さはもう少し何とかならなかったのでしょうか。そういうところまで“逆行”しなくてもいいのではないかと思うのですが。

しかし今作のスペシャル・エディションについているDVDに収録されている昨年7月のドイツ公演のライヴ映像はこれらの不満を吹き飛ばす素晴らしいもので、特に中盤の"Enemy Ghost""Refuse/Resist""Doom""L.O.T.M.""Molotov"と爆走チューンを立て続けに繰り出すパフォーマンスは否応なしに燃えました。今作の曲もライヴで聴くときっとよりクールに聞こえることでしょう。一刻も早い再来日を望む。
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RATING: 8.5/10

ノルウェー出身の3人組による2作目。前作は未聴。キーボード、ベース、ドラムというシンプルな編成によるプログ・ジャズ・ロックをプレイしており、特に中心人物であるキーボーディストはキース・エマーソンあたりからの影響を強く受けていそうな感じを漂わせますが、ベースとドラムはハード・ロックばりのラウドな音と弾きまくり叩きまくりのプレイでキーボードと激しく拮抗し、ニッチなジャケットのイメージとは正反対の強烈なエナジーを生み出しています。下の動画でご紹介している"Aviation"のようなスピーディーなジャズ・ロック・ナンバーを中心に据えつつも、サイケ調のムーディーな色合いも同等に押し出されており(ミニマルなベース・リフは初期のSOFT MACHINEを思い起こさせる)、ジャズをベースにしつつ古典的なロックを幅広く包含し、そこに現代的なエナジーとパワーを封じ込めた好盤に仕上がっているといえるでしょう。一瞬マス・ロック系とかぶるような雰囲気も見受けられますが、それらにありがちな理論派っぽいイメージは薄く、あくまでフィジカルな感覚を大事にしていそうなところに好感が持てました。

なお、ここでドラムを叩いているTorsten Lofthusは現在SHININGにも在籍。ジャズを通過したミュージシャンが自由な感性で音楽性を発展させているノルウェーのシーンが面白いことになっていることを実感させてくれます。これからもフォローしていく価値は十二分にありそうです。

 
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RATING: 8/10

NECRODEATHBULLDOZERと並ぶイタリアのカルト・スラッシュ・バンドによる再結成第2弾となる3年ぶりの通算3作目。前作に参加していたベーシストが脱退し、遂にオリジナル・メンバーはギター1人のみとなりましたが、音楽性は'88年の1st「Main Frame Collapse」から何ら変わることのない('94年のEPではインダストリアルに接近したようですが僕は未聴)、ブラスト・ビート主体で無軌道に暴走するグラインド・コアとスラッシュ・メタルのクロスオーヴァー的なサウンドに狂気じみたシャウトが乗るもので、オーヴァーダブを極力抑えたシンプルでシャープな音作りもあって、その音像からは「引きこもりが突如発狂してナイフを持って繁華街の中で暴れ回っている」かのような危険さが伝わってきます。MySpaceに載っているヴォーカルの写真も危険ですが、ギターがやけに普通の人なのがまた怖い。これらもさることながら、これほどのヴェテランが依然として初期衝動をキープし続けているというのが驚嘆すべき事実でしょう。いかにもヴェテラン・バンドといった洗練とは勿論一切無縁、さらには近年の若手バンドの勢いとも距離を置いた、SCHIZOという名前に偽りなしの発狂スラッシュはまさしく唯一無二。最近ではめっきり少なくなってしまった、「何かにムカついて仕方ない時にはナイフを持って立ち上がる代わりにコレを聴け」的な1枚です。

 
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