Music's Gonna Set Me Free...
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SAXONデビュー30周年記念再発シリーズの第3弾にして完結編となる7th~9thの3枚が前回から実に10か月ぶりにリリースされました。まずご紹介するのは'85年リリース、SAXON史上唯一女性のアップを用いた“らしからぬ”ジャケットが物議を醸した7作目です。今回のボーナス曲はリミックス1曲、シングルB面曲2曲、ライヴ4曲の計7曲です。

前作「Crusader」リリース後、金銭面のトラブルなどによりそれまで在籍していたフランスのCarrereを離脱、新たにEMIと契約してさらなるメジャー展開を図った1枚ですが、多くのファン離れを引き起こした前作のキャッチーな路線を更に推し進め、もはや初期の暴走ドライヴィン・サウンドはその面影すら残らないほどに洗練されたサウンド(エコーをかけまくったいかにも80'sなプロダクションが時代を感じさせます)となりました。当然のごとく初期のスタイルに固執するファンからはアメリカ狙いという猛反発を受けることになりますが、硬派なリフとキャッチーな歌メロのバランス感覚が前作より優れており、個人的にも別に本作を傑作というつもりはありませんが、これはこれで“アリ”だと思える良質なメロディアスHR作品になったと思っています。確かにキャッチーにはなったものの、アルバム中に漂う雰囲気は紛うことなきブリティッシュだし、よく言われる“アメリカナイズされたブリティッシュHR”と“アメリカンHR”はやはり似て非なるものだということを本作でも実感できるのではないでしょうか。ラストの"Give It Everything You've Got"はモロにVAN HALEN "Hot For Teacher"ですが。

ボーナス収録のうちシングルB面扱いだった2曲は本編曲よりストレートに疾走するHMソングで、アルバムの雰囲気に沿わないため外れたことが容易に想像できますが、こっちのほうを気に入る人たちは多いような気がします。ライヴ・テイクのうちメドレーでは初期曲の"Heavy Metal Thunder" "Stand Up And Be Counted" "Taking Your Chances" "Warrior"をプレイしていますが、メドレーということでテンポを統一したためか、"~Thunder"が思いっきりスローになっているのがあまりにも残念。残りのライヴ3曲は本作の収録曲で、もはやライヴでは永遠にプレイされることはないでしょうから、ある意味貴重です。
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RATING: 8/10

3年ぶりとなる7作目。従来のナルシスティックなメロディ・ラインにドゥーミーなサウンドという新機軸を持ち込んだ前作から一転して再びそれ以前のスタイルへの揺り戻しが図られていますが、音作りはさらにライトになり、よりヴォーカルを主軸とした作りとなっています。そこに前作でもう一つ新たに開拓したヴィレ・ヴァロのスクリームがさらに頻度を上げて持ち込まれており、単なる過去の焼き直しにとどまらないエモーショナルな色合いが加わっています。このスクリームが全作品中最もポップなイメージで固められたアルバムに強い印象を残しているような気がします。一発で耳を捉えるキラー・チューンが今回も存在しないのが残念ですが、全体的にレベルの高い仕上がりにまとめているのはさすがといったところです。

しかし前作のタイトル「Venus Doom」といい、今作といい、アルバム・タイトルが的確にその音楽性をわかりやすく示している例は珍しいですね。今作の場合は「Screamがどのようにwork(作用)するか、Theory(理論)を組み立ててLove metalの中でPractice(実践)してみよう」という風にも解釈できます。限定盤に全曲のアコースティック・ヴァージョンを収録したボーナスCDが添付されていることもあり、本編とスクリームを一切使わないアコースティック版を聴き比べていくと、その意図がより理解できるのではないでしょうか。何故この限定盤を日本盤で出さない!?来日決まるまでとっておくつもりなのか。
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RATING: 8.5/10

闇の皇帝EMPERORのブレインによる2年ぶり3作目のソロ・アルバム。前2作に続いて"A"で始まるワン・ワードのタイトルから想像できるように、3部作の完結編という位置付けのようです。僕が購入したのはインタビュー。ライヴ映像などを収録したDVD付きの限定盤です。最初の「The Adversary」EMPERORの延長線上にある作りでしたが、前作「AngL」ではEMPEROR色を弱め、いよいよプログ・メタルの領域に踏み込んでいきましたが、今作ではその方向性のさらなる推進に加えてサックスを大々的に導入。それまでの耽美性、暴力性の両立した世界観に加えてアヴァンギャルドなカラーを持ち込んでおり、ブラック・メタル色もその一部として機能しているような印象を受けました。前作にゲスト参加したミカエル・オーカーフェルトによほどインスパイアされたものがあったのか、自身のクリーン・ヴォイスもより深みを増し、ひいてはそれが全体の聴き応えを一段上の次元にまで高めているような気がします。前作で感じられたOPETHっぽさをより推し進めつつ、先述のアヴァンギャルドな新機軸により十分な差別化を図ったさすがの力作です。EMPEROR以来ずっと続いていた「闇の~」で統一された邦題が今回遂に採用されないようで、それが少し残念。
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RATING: 9.5/10

とにかく煮え切らない印象ばかりが残った前作「Transgression」の後再び活動を休止したFEAR FACTORYですが、クリスチャン・オールド・ウォルバース(G)とレイモンド・ヘレーラ(Ds)がARKHEAで活動している間に一旦バンドを追放されたディーノ・カザレス(G)とバートン・C・ベル(Vo)が和解し、新たに元STRAPPING YOUNG LADのジーン・ホグラン(Ds)を加えて復活、5年ぶりとなる7作目をリリースしました。

使い古された言い方になりますが、やはりバートンとディーノの間には“マジック”があったということをイヤというほどに実感させられる出来、という一言に尽きます。分かり易く言えば1st、2ndの暴力性に3rd、4thのキャッチーさを少しばかり融合したということになりますが、今までにもなかったほどのスラッシーなスピード感(DIVINE HERESYから持ち込んだものであることは言うまでもないでしょう)の中でディーノの殺戮リフ、バートンの咆哮とメロディアスではあるものの無機質な歌唱が冴え渡っており、セルフ・パロディとは断じて言わせない気迫を全編で伝えてきます。この2人に遠慮することなく激しく叩きまくるホグランのドラムも相変わらずグレイト。キラー・チューン目白押しの本編に加えてボーナスで収録された"Crash Test"のリメイクもクール(他に'91年録音のデモ3曲も追加)。DIVINE HERESYも並行して活動するということで、ファンにとっては楽しみが倍増したことは確かでしょう。ディーノの復帰で期待されたものをお釣りがくるほどに示してみせた、早くも私的2010年ベスト10入り確実の傑作。

 
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RATING: 8.5/10

正規リリースの2か月以上も前にオフィシャルMySpace上で全曲無料配信という暴挙をやってのけたアイルランドのスラッシュ・メタル・バンドの2作目。気に入ったらオマケもつけるから是非とも買ってくれ、というわけでボーナスEP「Half Cut」を添付した2枚組のスペシャル版を購入しました。

レーベル・メイトのMUNICIPAL WASTEに近いクロスオーヴァー系のスポーティな切れ味を押し出したプロダクションで、前デビュー作で既に示されていたスピーディなリフの刻みとコンプレッションをかけたビートが完璧に調和した抜群の疾走感、ドライヴ感がさらにパワー・アップ。本編全12曲で30分という短さですが、ファニーな雰囲気を押し出しつつ曲構成は至ってクラシックなメタル・マナーに則っており、無駄な展開を極力省いて2.5倍速化したクラシック・メタルといった趣さえ感じさせます。先の全曲無料配信が自信の表れであることが何となく理解できるヘッドバンガーズ・アルバムの佳作ではないでしょうか。
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RATING: 8.5/10

今年デビュー25周年を迎えたOVERKILLNuclear Blastに移籍して放つ2年ぶりの16作目。個人的にはOVERKILLはどのアルバムでもOVERKILLとしか言いようのない音を出していたと思いますが(それはもちろんブリッツのヴォーカル、D.D.のゴリゴリのベース、ザクザク刻みまくるギター・サウンドがどんな曲調だろうと常に前面に出ていたことによるところが大きいわけですが)、今作は80年代の作品でもここまで速い曲を立て続けに繰り出すことはなかった、といえるほどにスピード重視に振り切れた内容。特に頭3曲のファスト・チューン連発には曲の長さも忘れて燃える。その一方でNWOBHM風のリフを持つ"Bring Me The Night"や後半に"The Trooper"へのオマージュといえるフレーズが飛び出す"Endless War"など、随所にクラシック・メタルへのリスペクトが感じられ(ツボを押さえたギター・ソロもグレイト)、初期のOVERKILLの特徴であった“暴力的な正統派HM”というべきスタイルを現代的にアップデートしたような雰囲気も感じられます。終盤でやや息切れの感は否めないものの、これだけのヴェテランが未だ衰えぬエナジーを全力で振り絞るかのような激走による突き抜けた爽快感はそれを補って余りあるほど。これは期待以上の快作といってもいいでしょう。



 
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「ジャズ・ロックの華麗なる世界」の5回目にご紹介するのは、マイルス・デイヴィスのバンドを経てMAHAVISHNU ORCHESTRAに参加したパナマ人ドラマー、ビリー・コブハムが'73年にリリースした初のリーダー・アルバムが「Spectrum」です。本作にはMAHAVISHNUの同僚ヤン・ハマー(Key)とトミー・ボーリン(G)が参加し、エレクトリック・マイルス~MAHAVISHNUの流れに位置しつつ、よりロック寄りに踏み込んだサウンドを展開しています。

なんといってもオープニングの"Quadrant 4"。これはジャズ・ロックの域を超えてほとんどハード・ロックと言ってもいいワイルドなドライヴィング・チューン。コブハムの傍若無人なドラミングと対等に渡り合うボーリンのギターがクールであり、かのDEEP PURPLEがリッチー・ブラックモア脱退時、この曲を聴いてボーリンに後任として白羽の矢を立てた、という有名なエピソードがあります。本作ではこの曲が異色の存在であり、2曲目以降は南米系のホットなノリを感じさせつつファンキーに展開していくフュージョン・スタイルが主体となりますが、ドラムは全編通して熱く、手数の多さとスピード、パワーに加え、正確無比なタム回しでロック的なエナジーとテンションを放出していきます。というわけで本作はフュージョンの名盤として認知されていますが、ジャズ・ロックの視点からも聴くべき点の多い1枚といえるでしょう。コブハムは現在65歳ですが未だ現役で活動中です。
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