Music's Gonna Set Me Free...
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RATING: 9/10

日本を代表するブラック・メタル・バンドが女性ヴォーカル/サックス奏者のDr.Mikannibalを新たに加えての3年ぶりの8作目。シンフォニック・スラッシュという新路線を開拓した前作「Hangman's Hymn」のスタイルを継承したものですが、その質感は前作とは大きく異なっています。分かり易く言えば前作の荘厳重厚さと整合感を解体し、バンド・サウンドはよりロウな荒々しさを強め、シンフォニック・アレンジはホーン・セクション主体でチンドン・オーケストラ的な色合いに移行することによって退廃感と邪悪さを見事描きだすことに成功しており、結果として前作では希薄だったアヴァンギャルドな感触も復活しています。得体の知れない怖さと迫力を増量しながら、聴き易さにもしっかり配慮したと思われる曲作りは前作譲りであり、川嶋未来とDr.Mikannibalが噛み付きシャウトとグロウルの掛け合いヴォーカルをキメることによってスピード感もアップ。前作の好評による期待を軽くかわしつつ、さらなる世界観の広がりを提示してみせた文句なしの力作でしょう。

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ジャズ・ロックというとギター、ベース、ドラム、キーボードといった編成に加えホーン・セクションやヴィブラフォンといった楽器が加わり大人数になる傾向がありますが、今回ご紹介するイギリスのBACK DOORはサックス、ベース、ドラムというユニークなトリオ編成でジャズ・ロックに挑んだバンドです。本作は'72年に自主制作でリリースされ、翌年Warner Bros.から出し直されたセルフ・タイトルのデビュー作で、後に歌入りの曲も取り入れフェリックス・パパラルディやカール・パーマーのプロデュースによりロック色をさらに強めていきますが、本作の時点では全編インストのファンキーなジャズ・ロックをプレイしていました。ギターレスの編成ということで当然音圧の面では他のバンドに比べて劣ることになりますが、逆にその音の隙間と最小限のトリオ編成を十二分に生かしたスリリングなインスト・バトルを心ゆくまで満喫できる1枚といえるでしょう。特に強いインパクトを残すのがベースであり、サックスとの高速ユニゾンを実に軽々とキメてみせたり、普通はアンサンブルのメインとなるサックスをバッキングにまわしてリード・プレイをキメるなど、その圧倒的なテクニックに思わず耳を奪われてしまいます。

なお、そのメチャウマなベースをプレイするのは後にコージー・パウエルのソロ活動への参加を経てWHITESNAKE「SLIDE IT IN」に参加するコリン・ホッジキンソン。今考えるとここまで派手に弾ける人が何故WHITESNAKEなのか、という思いが残りますし、そこでのプレイもリミックスでニール・マーレイ(この人のキャリアも遡っていくと意外なところに辿り着きますが、それはまた後日...)のテイクに差し替えられてしまうわけで、このBACK DOORでのプレイを聴くたびに、なんだかなぁという気持ちになってしまいます。
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前回ご紹介したAREAと並び、イタリアン・プログ・ジャズ・ロックの最高峰に位置するバンドと称されているのがARTI E MESTIERIです。特に'74年リリースのデビュー作「Tilt」はジャズ・ロック史に残る超名盤として語り継がれる1枚とされていますが、当ブログ的にはその1stの路線を引き継ぎつつ、より演奏重視に傾いた'75年リリースの2作目「Giro Di Valzer Per Domani(明日へのワルツ)」を推したいと思います。

このバンドを語る際になんといっても外せないのがフリオ・キリコの強烈なドラミング。恐ろしいほどの手数足数を駆使して必要以上と思えるほどにスピーディに叩きまくるプレイにまず耳を奪われますが、そのドラムに絡むインスト陣もタイトな技巧を聴かせつつスムーズに流れるようなプレイに終始し、凄まじくテクニカルでありながらも優雅なサウンドを展開しています。スタイルとしてはMAHAVISHNU ORCHESTRAの影響下にあると思われますが、そのインド風味とスピリチュアルなムードをバロック音楽の格調に置き換えたと言えば判り易いでしょうか。本作では新たに専任のヴォーカリストを迎え、曲もコンパクトにまとめられたものが並びますが、その一方で演奏はより激しさを増しています。特にキリコは最初は抑制したプレイで始めるものの、途中からもうガマンできんといわんばかりに激しく叩きまくる。その瞬間のカタルシスが個人的には本作の魅力と感じています。それでいて前作で提示した高度な演奏と優雅な世界観が依然として高次元で両立されており、そこにこのバンドの力量を見ることができます。しかし本作リリース後、作曲面の中心人物であったジジ・ヴェネゴーニが脱退してその勢いは急激に衰え、その後バンドは解散~再結成を繰り返しつつ現在も活動中です。
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METALLICAの怒涛のライヴDVD連発シリーズ第2弾は2009年6月4、6、7日に10年ぶりのメキシコ公演として行われたスタジアム・ライヴの模様を収めたものです。僕が購入したのはDVD2枚とCD2枚を収めたボックス・セット仕様の限定盤で、DVD本編には3日間のベスト・テイクをまとめた19曲、DVD2枚目には3日間のうちに演奏されたものの本編から漏れた16曲、CDにはDVD本編のオーディオ・トラックが収められています。監督は過去のライヴ映像作品を手掛けたウェイン・アイシャム、パッケージ写真の撮影はこれまたバンドと縁の深いロス・ハルフィンが手掛けています。ちなみにタイトルは「Pride, Passion And Glory」という意味です。

この公演は新型インフルエンザの蔓延により開催が危ぶまれたそうですが、その危機を乗り越えて無事に行われたということで、待ちに待ったファンのいかにも南米らしい凄まじい熱狂ぶりが映像からもリアルに伝わり、バンドもそれに応える熱演を繰り広げています。特にステージ後方に設置された大型のオーロラ・ヴィジョンに映し出されるメンバーやオーディエンスの姿が熱狂をさらに増大させている気がして、日本でこんな規模のライヴやってくれないかなぁ、これを生で体感したいなぁ、という気にさせてくれます。やっぱり日本でメタルをさらに盛り上げるためには、このぐらいの熱狂を生み出すライヴを(ここまでの規模でなくてもいいから)もっと多く開かないとダメだろ、という思いを抱かせます。先にリリースされたフランス公演版との違いは数曲おきにメンバーやファンへのインタビューが挿入されていることで、また曲によっては1曲の中で違う日のテイクがつなぎ合わせられるという凝った編集も行われています。全35曲の中には"Hit The Lights""Trapped Under Ice"など初期曲のオフィシャル・ライヴ映像初登場曲も多く、フランス版にも増して見どころ満載です。果たして来るべき日本公演ではここに収められた曲から何がプレイされるのか、それを想像しながら観て楽しむこともできる圧巻のDVDです。

 
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METALLICAがワールド・ツアーの模様を次々にライヴDVD/ブルーレイとしてリリースするという新たなチャレンジを開始したのはご存知と思いますが、その怒濤のライヴDVD連発シリーズの第1弾として2009年7月7日にフランスのニームにある、歴史的な建造物であるコロシアムをそのまま劇場に作り替えた会場で行われたライヴを収めた作品がまず昨年11月にフランスのみで先行リリースされ、12月にオフィシャル・サイトからも販売開始されました。タイトルは「French For One Night」という意味で、撮影に関わったスタッフはすべてフランス人ということです。先日第2弾としてメキシコ公演版もリリースされ、今後昨年10~11月のカナダ公演版もリリース予定ということです。本DVDは限定版として「Death Magentic」のCD、Tシャツ、ライヴ写真5枚、ツアー・パスのレプリカを収めた円形ボックス仕様も出ていますが、僕が入手したのは通常版です。

こんな無茶な企画を実行するに至ったのも、バンド自身が現在のライヴ・パフォーマンスに絶対の自信をもっていることの表れだと思いますが、それも本DVDの"Blackened"、"Creeping Death"、"Fuel"という出だし3曲で思わず納得。旧作からの曲の格好良さは勿論ですが、注目の「Death Magentic」から披露された4曲は70年代HR的なグルーヴ感、生々しさとスラッシーなスピード感、重量感の融合という同作の特徴がスタジオ・ヴァージョン以上に強く打ち出されており、特に"The Day That Never Comes"の後半でスピード・アップしてツイン・リードに雪崩込む展開は思わず痺れてしまうほどの格好良さです。他には"Dyers Eve"のオフィシャル・ライヴ映像初登場も見どころといえるでしょう。是非ともこのテンションを維持したまま日本に来てほしい。そんな思いを抑えられずにはいられなくなる1枚です。

 
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イギリスに次ぐプログレ大国であるイタリアにも当然ジャズ・ロックを指向するバンドはいくつも存在しましたが、その中でも唯一無二ともいえる独自性を打ち出したのが今回ご紹介するAREAです。

音楽性の根本にあるのは当然ジャズ・ロックですが、その枠にとどまらない圧倒的な個性を'73年リリースのデビュー作となる本作「Arbeit Macht Frei(自由への叫び)」にして早くも確立しています。イタリアらしい熱気と地中海のエキゾチックなムードを振りまきつつインスト陣が驚異的な演奏を激しくぶつけ合うサウンドもさることながら、最大の特徴といえるのがデメトリオ・ストラトスのヴォーカル。独特の歌唱法で歌われる妖艶なメロディに加え、時にインストの一部と化して演奏と渡り合うエキセントリックなスキャットが圧巻。このヴォーカル・パフォーマンスや怒涛のインプロヴィゼーションによって単なるジャズ・ロックの域を超えたとてつもないエナジーを生み出し、聴き手をグイグイと自らの世界に引き込んでいく求心力は今なお色褪せていません。

バンドはこの後本作の路線を維持しつつフリー・ジャズやノイズ・アヴァンギャルドなども取り入れてその音楽性を拡大、ライヴ盤も含め5枚のアルバムをリリースしますが、'79年にバンドの顔であったストラトスが白血病のため死去、残されたメンバーはこのショックから立ち直れず、その翌年に解散。'97年に再結成されますが、'00年にジュリオ・カピオッツォ(Ds)の死去によりバンドはその歴史に永遠に幕を下ろすことになりました。
From BLABBERMOUTH.NET

EMPERORの再結成ライヴ活動などもあり、2年以上活動を休止していたZYKLONが解散したことが明らかになりました。現在元EMPEROR組のサモス(G)は新プロジェクトのTHE WRETCHED ENDのアルバムを制作中で、タリム(Ds)はタトゥー・ショップを経営しつつ、新たな音楽活動へ向けて動き出しているということです。また、デストラクター(G)はセクトデーモン(Vo,B)と共に以前やっていたMYRKSKOGの新作を制作するようです。最後のリリースとして全オリジナル・アルバムにボーナス音源を追加したボックス・セット「The Storm Manifesto」を今年後半にリリースする予定です。

ZYKLONといえば個人的にはブラック・メタルにインダストリアルを融合したデビュー作「World Ov Worms」の印象が強いわけですが、その後の2作でも十分なクオリティはキープされていたものの、1stのインパクトに及ばなかったというのが正直なところです。解散は確かに残念ですが、これで何気に好きだったMYRKSKOGが再び動き出す可能性が高くなったというのが楽しみだったりします。
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2010年より開始する新企画は「初期スラッシュ・メタルの素晴らしき世界」に続く特定ジャンル探究企画の第2弾です。そのジャンルは僕がここ数年ずっとハマっている“ジャズ・ロック”です。プログレッシヴ・ロックの進化にも多大な貢献を果たしたジャズ・ロックですが、音楽的には“ロックのビート感や演奏スタイルを取り入れたジャズ”から“ジャズの高度な演奏力を持ち込んだロック”まで多岐に亘っているのが特徴です。ここではジャズ・ロックが全盛であった60年代末~80年代初頭にリリースされた作品の中から、このブログで取り上げるに相応しいエキサイティングな作品を国籍を問わずピック・アップしてご紹介します。取り上げる予定の作品はスラッシュ編に比べて格段に多いのでかなりの長期に及ぶと思いますが、なんとか挫折することなくやり遂げたいと思います。

まず最初にご紹介するのは、以前TEMPESTのエントリーでフェイヴァリット・ギタリストの1人として取り上げたアラン・ホールズワースです。彼がシーンに出てきた当初は所属したバンドのほとんどをアルバム1枚のみで抜けてしまうため“脱退魔”の異名をとるほどでしたが、そんな彼が自分の音楽性を100%表現できるソロとして活動することは当然の成り行きでした。最後に参加したバンドのBRUFORDを脱退した時には経済的にも困窮を極め、自分のギターを売り払い、楽器店でバイトをして(!)食いつなぐという状況だったようです。そんなホールズワースがソロとして再起をかけるべく、借金を重ねて自主制作で'82年にリリースしたのが今回ご紹介する2枚目のソロ・アルバムです。ちなみに最初のソロ・アルバム「Velvet Darkness」は自身のオフィシャル・サイトで“録音しなきゃよかった作品”としているほど嫌っているため、本作を実質的なソロ・デビュー作として位置付けたいようです。僕も未聴です。

本作はこれ以降のホールズワースの音楽性を決定づけるアンビエント的なコード・ワークと独特のうねるようなトーンとフレージングによるフュージョン・スタイルの原点となった作品で、それ以前のプログレ時代に聴かせた凄まじい速弾きと鋭い切れ味を時折織り交ぜることにより、通り一遍のフュージョンとは一線を画した緊張感と硬質な感触を生み出しています。リズム・セクションも良い仕事はしているものの全体的に派手さに欠ける作風ですが、それも含めて魅力的と感じられる1枚です。本作リリース後、以前よりホールズワースをリスペクトしていたエディ・ヴァン・ヘイレンの後押しによりWarner Bros.との契約を得て次作「Road Games」をリリースしますが、メジャーに自身の音楽性を干渉されたくなかったのか、その1枚限りで契約を解消、その後シンタックスというシンセ・ギターを導入して独自の世界を更に突き詰めていくことになります。プログレ時代のホールズワースのプレイに心酔するファンの一部には本作以降の音楽性を認めない人たちもいるようですが、そんな声にも一切耳を貸すことなく、商業的な成功にも全く目もくれずにひたすら自身の音楽性を追求し続けたホールズワースは、まさしく求道者と呼ぶにふさわしいギタリストといえるでしょう。以前ご紹介したTEMPESTU.K.も含め、プログレ時代に参加したバンドの作品にも当然クールなものは色々あるので、それらは今後ご紹介していきます。
皆様、新年あけましておめでとうございます。

さて新年一発目の更新ですが、2010年よりTwitterを開始することとしました。ここではこのブログ向けの話題は勿論のこと、それ以外で個人的に興味のあることも自由に書き込んでいきたいと思っています。サイドバーにも表示していますので、フォローはお気軽にどうぞ。

それでは、今年もよろしくお願い申し上げます。
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