Music's Gonna Set Me Free...
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今年15年ぶりの復活を果たしたジャパニーズ・スラッシュの雄SHELLSHOCK。3月に1stアルバム「Mortal Days」の再発盤をご紹介した際に「残ったカタログの再発に期待」と書いたら、なんとその残りのカタログとなる2nd「Protest And Resistance」、3rd「Fiel Larm」、EP「Graythem...Of Chaos」3作が一挙にリマスターされ、さらにライヴ映像を収めたDVDをプラスしたボックス・セットとしてリリースされました。これは本当に嬉しい。

1stのスラッシュ・メタル路線にハードコア色を持ち込んでよりアグレッシヴなスタイルを目指した2nd、Masami "Die" Chiba(Vo,B)が全面的に主導権を握り(これはDVD収録のインタビューでも語られています)、インダストリアル、グラインド・コアまでも持ち込んでさらなるアヴァンギャルドなサウンドへの大変身を果たし、今では早過ぎた名作と評価されている3rd、スラッシュ色を完全に一掃してファンク、テクノ、ヒップホップまでも取り入れてアヴァンギャルド化が行き着くところまで行き着いたEP、どれもが圧倒的な聴き応えを誇りますが、リマスターによりボトムの音がより強調されており、特に曲は最高だったものの音の軽さが残念だった2ndにその効果が如実に表れています。EPにボーナスで追加された解散直前の'94年のライヴ音源はモノラル録音で音質こそ極悪ですが(元々音源化を前提としていないわけですから当然ですが)、さらに暴力性を増した演奏に加えてエレクトロニクスのさらなる導入とアレンジの拡張によって、アルバムの世界観をより拡大しようとするプログレッシヴなライヴを指向していたことがよくわかる興味深い記録となっています。このライヴ音源とラストに収められた"System Kills"を聴くと、どことなくKING CRIMSONに通じるムードを感じさせます(ライヴの音の悪さは「Earthbound」を彷彿させ、"System~"でモロに"Red"から借用したフレーズが飛び出すあたりは...)。DVDに収録された'92年KREATOR来日公演の前座のステージはDieのパフォーマンスを中心とする圧倒的な演奏力が強烈なインパクトを残しており、これが世に出てくれて本当に良かったと思える貴重な記録です。一方、再結成2度目のステージとなるライヴ映像は残念ながら全曲フル収録ではないダイジェスト版ですが、まだ試運転的な色合いも感じさせるため、俺達はまだまだこんなもんじゃないという意思を感じさせます。

それを証明するかのように、これまでのAkilla Ito(Vo,G)、Masami "Die" ChibaMasaru Key-mao(Ds)というトリオ編成に加え、先日のライヴより元SAVAGE GREEDNorikaz Saeki(G)が加入し本格的な戦闘体制を整えたSHELLSHOCK、今後のアルバム制作にも期待が高まります。
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DREAM THEATERのキーボーディストが今年2~3月にかけて録音した新作ソロ・アルバム。自身のオフィシャル・サイトのみでリリースしているものですが、僕は先日都内の大型CDストアで今作が並んでいるのを見て、思わずレジに持って行ってしまいました。値段はやや張りましたが...。この他、日本ではiTunes Storeでも配信されています。

こんな販売形態もあってか商売意識を殆ど感じさせない酷いジャケットですが、DTのバラード9曲のピアノ・アレンジに加え、自身の書き下ろしによる新曲を3曲加えた美麗なピアノ独奏の数々は元々のメロディが優れているのに加え、随所にスポンテニアスなフィーリングを持ち込んだインプロを織り交ぜての豪快かつ繊細なプレイによって純粋に聴く者の心を打つ、BGMにするもよし、じっくり聴き込むもよしの逸品に仕上がっています。これまではその殆どがテクニカルな側面を強調していたDTのスピンオフ作品の中で、メロディにスポットを当てた今作が一般的な流通に乗らないのは実にもったいない気がします。あくまでもファン向けの作品ではありますが。
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今回で最終回となる「初期スラッシュの素晴らしき世界」で取り上げるのは先日最終作「Infini」をリリースしたカナダのVOIVODです。このトピックでは'84年から'86年にリリースされたアルバムに限定して取り上げてきましたが、VOIVODがこの時期にリリースした2作はどちらも初期スラッシュの魅力全開の甲乙つけ難い力作ですが、ここではアルバム・タイトルがその凄まじさを物語る'86年リリースの2作目「Rrröööaaarrr」をセレクトすることにしました。

ここ日本ではサイケやプログレを取り入れた知的なスタイルに移行してからの評価が高く、ジェイソン・ニューステッドの加入によってその評価は決定的なものとなりましたが、ヘッドバンガーにとっては初期2作の知性のカケラもない爆裂スラッシュ路線への思い入れのほうが強いことでしょう。前作1st「War And Pain」で示した、ノイジーなギターと暴走するリズム、闇雲にわめき散らすヴォーカルが一丸となり、整合感一切無視で怒涛の如く襲いかかるハードコア・パンクと紙一重の爆裂サウンド(当時自らこの音を「ニュークリア・メタル」と称した)をさらに強化した、今にも鼓膜をぶち破らんかとするかのような爆音のオンパレードはただただ圧巻の一言。原始的な衝動をひたすら熱くブチまける演奏ぶりはメタルどころかロックの原点をも感じさせますが、その一方でギターの不協和音や変則的なリズム・パターンなど、後の変化を予感させる要素も垣間見せています。前作はリマスター化されてより破壊的な音になり、今作もぜひリマスター化を期待したいところですが、現在音源の権利を持つSanctuaryがメジャーのUniversalの傘下に入ったため、俺達のアルバムなんてリマスターしてくれないだろうとメンバーは語っていました。

こうして初期スラッシュの名盤を立て続けにご紹介していきましたが、こうして自分でまとめていくと以前ははっきりとは判らなかった“スラッシュ”と“パワー・メタル”の違いというものがよく見えてきたような気がします。それは“ヴァイオレンス”の有無という一点に集約されるということです。たとえば“歌う”ヴォーカルを擁したMETAL CHURCHがパワー・メタルと呼ばれるのはよくわかりますが、同じくヴォーカルが歌いまくるANTHRAXはなぜスラッシュとしか言いようがないのかといった疑問も、これで解決できるような気がしています。このシリーズをやるきっかけとなったEXODUSの1stについてのエントリーで書いた、「スラッシュ・メタルというタームは“暴力性”を指しているのではないか」ということが、このシリーズを書いていてはっきりと確認できたような気がします。また、初期スラッシュ特有の洗練とは程遠い荒々しい演奏は当時日本ではほとんどまともに評価されませんでしたが、それが多くのファンの心を動かしたのは紛れもない事実であり、ロックに演奏の巧いもヘタも関係ねえ、ということを改めて実感させてくれました。いつかまた機会があったら一つのジャンルをスポットを当てたシリーズをやってみたいと思います。
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RATING: 8.5/10

バンドの看板であったクリスチャン・アルヴェスタム(Vo)の脱退という一大事があったにもかかわらず、前作からわずか1年余りというハイ・ペースで出された4作目。これだけ早く作られたのはバンドの売りであったヴォーカル面で表現したいことが沢山あったからだと思いますが、それを具現化すべくアルヴェスタムの脱退を発展的に捉えたかのように、今作よりグロウル担当とクリーン担当というツイン・ヴォーカル体制となりました。

暴力的なグロウルと透明感のあるクリーン・ヴォイスのコントラストはそのままに、掛け合いや早い切り替えを増やすことにより、これまで以上に多彩な曲調を実現。エレクトロ・アレンジとスラッシーなスピード感の双方もより強化され、SOILWORKのフォロワーからスタートして模索してきた独自の方向性がここにきて遂に確立された感もあります。前作を聴いた時に「現時点でのバンドのポテンシャルは出し尽くしたのではないか」と書きましたが、ツイン・ヴォーカル体制によってそのポテンシャルはさらに拡大されたのではないでしょうか。前2作同様キラー・チューンと呼べる曲は少ないですが、全体のレベルが大きく底上げされ、バンドの最高傑作といえる充実した仕上がりとなりました。
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欧米ではあまり知られていないヨハン・リーヴァ時代のアルバムからの曲をライヴのレパートリーに加えようという目的で制作されたセルフ・カヴァー作。僕は以前にも書いた通りのヨハン・リーヴァ信奉者であるわけですが、これまでほぼ一本調子で押し通している印象が強かったアンジェラ・ゴソウのヴォーカルが、今作では表現の幅を広げており、リーヴァとはタイプは異なるものの、少なくとも曲のスタイルに合わせようとする意思が窺えます。

むしろ今作で賛否を呼びそうなのがその音作り。曲によってはザクザクしたリフの刻みがより格好良い効果をあげているものもありますが、当然というかオリジナル版にあった荒々しい勢いと生々しさは洗練に取って代わられており、おまけにゴソウの音域に合わせたのかキーも上げられています。スラッシュ・メタルのセルフ・カヴァーでキーを下げてあれこれ言われたことは過去に何度かありましたが、逆にキーを上げたというのは今まで聞いたことがありません。これは正直言って初めて聴いた時には相当の違和感を感じました(特に"Dead Inside"は疾走感も1割減でオリジナルのほうが100倍はよかった)。カラオケではどんなに音程の高い曲でも絶対キーを変えずに歌っている僕としては、多少無理してでもオリジナル通りのキーでやってほしかった気がします。最初に書いた通り欧米のファン向けの企画盤ということで、あまり日本のファンのことは意識していないのかもしれませんが、良くも悪くもARCH ENEMYの現在を如実に反映した1枚といえるでしょう。
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1つ前のエントリーでご紹介したPOSSESSEDを始め、初期スラッシュ・メタル・バンドにはお世辞にも演奏が巧いとはいえないものが多かったのですが、その中でも“お世辞にも”という次元を遥かに超越し、とにかく最悪としか言いようのない演奏を披露したのがブラック・メタル時代の初期SODOMでした。

今回ご紹介する'84年リリースのデビュー・ミニ・アルバム「In The Sign Of Evil」には後のパブリック・イメージとなるトム・エンジェルリッパーの極道シャウトを始めとするMOTORHEAD譲りの極悪イメージは殆どなく、むしろVENOMを直接のルーツとするサタニックなイメージで押し通していましたが、その中で最も強いインパクトを与えたのが最悪の演奏ぶりとチープ極まりない音質。出だしこそなんとかしっかりしているものの、曲が進むにつれてギター、リズム、ヴォーカルのすべてが少しずつズレていき、サビまでいくともう殆どカオスとしか言いようがない状態になっていく。人によってはとてもじゃないが聴いていられないような代物ですが、これがまた邪悪なイメージを演出するのに最大限の効果をあげているという奇跡を起こしています。当のエンジェルリッパーは一時期本作を自身のキャリアから抹消したがっていた感もありましたが、この時代としては破格ともいえる邪悪さが多くの後続にインスピレーションを与えたこともまた事実であり、「Code Red」の初回盤ボーナスCDとして制作され、デス、ブラック勢が多数参加したトリビュート・アルバム「Homage To The Gods」には本作と次作1stフルレンス「Obssessed By Cruelty」からの曲が殆どを占めていました。エンジェルリッパーも後にそれに触発されるかのように本作を丸ごと当時のメンバーで再録音し、未発表曲も追加した「The Final Sign Of Evil」を'07年にリリースしましたが、意図的にローファイな音質にしたのはよいものの、演奏力の向上がかえって当時の邪悪さを完全に蘇らせるのを妨げており、やはり本作はあの時代だからこそ作り得た奇跡だったということを実感させる結果となりました。
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