Music's Gonna Set Me Free...
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初期スラッシュ・メタル・バンドの中で、後続のスラッシュ勢を飛び越えてデス、ブラック・メタル方面に多大な影響を与えたバンドにはBATHORYBULLDOZERSODOMなどもいましたが、活動期間が短かったこともあり特にカリスマ視されているのがPOSSESSEDです。当時メンバーが現役高校生であったことも話題になりましたが、音を始めとしてあらゆる面でその若さを大きく反映していました。

その中でもやはり特徴的なのはとにかくヘタとしか言いようがないドラムの演奏で、リズム・キープこそ一応しっかりしているものの、キメやオカズになるとモタる、ズレるは当たり前。他のメンバーがよくこれにあわせてプレイできるものだ、と逆に感心してしまいます。しかしこのドタバタ加減が当時の「今、何としてもこれをプレイしたいんだ」という衝動性を破天荒な勢いのある音へと転化させており、結果的には本作を名盤たらしめる最大の要因になったわけです。「ヘタなものは認めない」という風潮が今なお根強い日本でそれが受け入れられるはずもなかったのですが...。逆にギターがメチャウマだったのがこのバンドの面白かったところで、ツイン・ギターの片割れラリー・ラロンデはPOSSESSED解散後、BLIND ILLUSIONを経て同バンドで知り合ったレス・クレイプールと共にPRIMUSを結成。ラロンデはこの事実を隠したがっていましたが、別に隠すことでもないだろう、と今となっては思います。若手の人気女優やエイヴェックスあたりにいる歌手がB級アイドルだった過去をキャリアから抹消したがるのとはワケが違うんだし。
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「初期スラッシュの素晴らしき世界」の4回目はいよいよMETALLICAの登場です。METALLICAで僕の考える初期スラッシュ像に当てはまるアルバムは当然1stと2ndということになりますが、これまで取り上げてきた初期衝動が先走っていたDARK ANGELKREATORMEGADETHとは異なるタイプの2ndをセレクトすることにしました。

やたらとその速さばかりが取り沙汰されたデビュー作に対して、ミドル・テンポの曲を主軸に据え、さらにはバラード・タイプの"Fade To Black"までも果敢にプレイするなど、前作で自らが作り上げたスラッシュ・メタル像を2ndにして早くも壊しにかかった本作ですが、僕が(そしてその他大多数のファンが)このアルバムにどうしようもなくスラッシュを感じるのは、やはり'84年という時代において破格の暴力性を備えていたからに他ならないでしょう。その象徴はなんといってもフレミング・ラスムッセンと共に開発したヘヴィで濃密なギター・サウンド.。後にベイエリア・クランチへと受け継がれる重さを持ちつつも、切れ味よりも破壊力を重視した、狂気とガムシャラさをそのまま音に置き換えたかの如く激しく唸るリフが聴き手の暴力衝動を否応なくかき立てる。"Die! Die!"の大合唱と共に何千何万もの拳が突き上げられる"Creeping Death"は言うに及ばず、"Fight Fire With Fire""Ride The Lightning"の中盤のギター・ソロ前後の展開はまさしく鳥肌ものの格好良さというしかありません。本作で示された勢いと新たに提示した叙情性をより高い完成度で集約したのが次作「Master Of Puppets」になりますが、あっさり集約し尽くしてしまったが故に、それ以降はまた新たな路線に踏み出していくことになるわけです。
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「初期スラッシュの素晴らしき世界」の第3回目は、現在絶賛発売中の新作を差し置いて、あえて1stを取り上げたMEGADETHです。MEGADETHもやはり本作リリースの'85年の時点ではたとえ元METALLICAという肩書があろうとも、そのあまりの音の悪さが足を引っ張って他のスラッシュ・バンドと同様の不当評価に遭い、しまいには「メガデスは芽が出ず」という今ではとても考えられないようなダジャレまで飛び出す有様。少なくとも'85年の時点で、日本でMEGADETHをマトモに評価している者はほぼ皆無に近いといえるような状況でした。

そして本作の真価がはっきり世に示されたのは、'02年にリミックス、リマスターに加えてジャケットも変更された新装盤が発売された時でした。オリジナル盤でのとにかく極悪としか言いようがなかった音質は劇的に改善され、初期MEGADETHの“インテレクチュアル・スラッシュ”の原点がはっきりと確認できるようになりましたが、本作で際立つのは知性よりもむしろ、今にも溢れ出さんばかりの怒り。ギターとベースが必要以上の音数でこれでもかと弾きまくり、ドラムも手数足数を駆使してラウドに叩きまくる。当時のムステインを動かしていたのは自分をクビにしたMETALLICAへの怨念といわれていますが、それがそのまま音の塊と化したかのような過剰なまでの激情の噴出。同時期の他のスラッシュ・バンドとはやや毛色は異なっていましたが、本作もまた初期スラッシュならではの生々しいエナジーを放射していました。
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初期スラッシュ・メタルが当時の日本ではメタル・ファンからさえも「こんなもの音楽じゃねえ」という非難、罵声、嘲笑を浴びていたことはご存じかと思いますが、当時その波をモロに被ってしまったのがKREATORだったといえるでしょう。今回ご紹介する'86年リリースの2ndの時点ではその声はピークに達していた感があります。なにしろ本作の後にリリースされたEP「Flag Of Hate」は「この調子で8曲入りLPを作られた日にゃ、焼身自殺したくなる」とボロクソにこき下ろされ、4点を献上される情け容赦ない酷評ぶりでした。しかしこの頃のKREATORはそんな奴らを即座にぶっ殺してやる、といわんばかりの無上のヴァイオレンスを体現していました。

本作までは後のKREATORのパブリック・イメージとなるミレ・ペトロッツァのヒステリックなシャウトは殆ど聴かれず、ミレとヴェンター(Ds)が曲ごとにリード・ヴォーカルを分け合う体制でしたが、ここでのミレのヴォーカルもその後とは違った邪悪なイメージを打ち出しており、これはこれでクールだったと思います。そしてタイトル・トラックをはじめ、"Death Is Your Saviour""Under The Guillotine"といった曲名からも想像がつく通りの過激さ、殺戮衝動を全面に押し出して全速力で突っ走るサウンドがまさに初期スラッシュならではの容赦ない暴力性をリアルに伝えきる。次作以降のアルバムではこのムードは徐々に薄れていきますが、これは当時の若さがあったからこそ成し得たものであることは言うまでもありません。現在のスラッシュ・リヴァイヴァルの若手でもこの生々しさまでは描ききれないでしょう。
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世間がTHE BEATLESのリマスター再発盤リリースで盛り上がる中(しかしあれだけ高額なボックス・セットが瞬殺というのはやっぱり凄い)、僕はキングレコードのCombat紙ジャケ再発を機に再びスラッシュ・メタルを聴き込むようになっていきました。今回からしばらくの間、まだスラッシュ・メタルが市民権を得ていなかった頃の'84~'86年頃にかけてリリースされた初期スラッシュ・メタルの名盤を立て続けにご紹介しようと思います。

まずはLAのDARK ANGELが'86年にリリースした2作目からです。このブログでは以前に最終作となった4作目Time Does Not Healをご紹介しましたが、そこで「速さと暴力性こそがスラッシュ、という人にとってはコレ」と書いていたアルバムです。LAといえばSLAYERの出身地でもあり、この'86年には「Reign In Blood」をリリースしていますが、その裏でひっそりとリリースされた本作は速さという点では完全に上を行っていました。その最大の原動力となったのは当然、本作より加入した千手観音ドラマー、ジーン・ホグランの猛烈なドラミングであり、それに引っ張られるかのように無茶とも思えるほどの速さでせわしなく繰り出されるリフが、未だ色褪せない凄まじい破壊力を生み出しています。歌詞は死と破滅を題材にしたものばかりですが、まるで今やらなければ自分達が死んでしまうと言わんばかりの性急さと切迫感で突っ走る猪突猛進ぶりが本作の最大の魅力といえるでしょう。昨年Century Mediaからの再発時にライヴ8曲がボーナスで追加され(ヴォーカルはロン・ラインハート)、先日の紙ジャケ再発でもこのフォーマットが使用されています。
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RATING: 8/10

'06年に活動を終了したSTRAPPING YOUNG LADのジェド・サイモン(G)を中心とするプロジェクトのデビュー作ですが、日本ではむしろFORBIDDENTESTAMENTのグレン・アルヴェライス(G)と久々の現場復帰となる元EXODUSのスティーヴ“ゼトロ”スーザ(Vo)が参加していることのほうが大きく扱われそうな気がします。リズム・セクションをSYLの同僚で現FEAR FACTORYのバイロン・ストラウド(B)とジーン・ホグラン(Ds)が務めているため、デヴィン・タウンゼンド抜きのSYLといった雰囲気もありますが、音のほうもSYLをよりストレートにしたかのようなハイパーなスラッシュ・メタルであり、ゼトロのヴォーカルもEXODUS時よりもさらにハイテンションなスクリーミングで迫り、バックの音と十分に渡り合っています。サイモン、ストラウド、ホグランの3人はZIMMERS HOLEでも一緒にプレイしており、音もやはりSYL譲りですが、しっかり差別化は図られています。そうなると今作の聴きどころはやはりゼトロでしょうか。EXODUS時代にはポール・バーロフ信奉者からあれこれ言われることが多かったですが、今作では暴力性のアップに見事に貢献。ここまでポテンシャルを引き出せるとは思いませんでした。
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RATING: 7/10

ヴァージニアの新世代クロスオーヴァー・スラッシャーによる2年ぶりの4作目。このジャケットからも判るように音楽的には前3作と全く変わることはなく、その意味では安心して聴ける1枚といえますが、僕が'07年の年間ベスト10第7位に挙げた前作「The Art Of Partying」に比べると音作りの棘がやや弱まり、そのせいで全般的に破壊力が薄れてハードコア由来のスポーティな軽快さが悪い方向に作用してしまっている感があります。もう一つの特色であったマッチョなシンガロング・コーラスの頻度が減ったのもインパクトを弱めています。プロダクションが前作並みであればもう少し印象は違ったかもしれませんが、前2作の充実で期待も大きかっただけに、これは残念。
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創刊25周年記念号となった今月のBURRN!誌の記事で個人的に最も目を引いたのが「スラッシュ・メタルの25年」でした。最初目にした時にはまた単なる懐古趣味かよ、と思いきや、シーンの当事者から近年の若手まで幅広い世代のミュージシャンへのアンケートに思わず見入ってしまいました。その中でも最も興味深かったのがMANTIC RITUALのダン・ウェットモアで、先日発売されたデビュー作で徹底的にオールドスクールなスラッシュを演っていた人物がスラッシュ・メタルを「カテゴライズのためのラベル以外の何物でもない」と言い切り、「多くのスラッシュ・ファンは考え方が偏狭で、そのことが音楽の創造性や進歩を妨げていると思う」と語ったのは実に痛快でした。しかしそのウェットモアは先日、フォトグラフィーに専念するためバンドを脱退してしまいました。

この特集が組まれたのは今月キングレコードからCombat Recordsのスラッシュ・メタル・アルバム22タイトルが紙ジャケットで再発されることに関連したものだと思いますが、その中でも最大の目玉はEXODUSの1stが初めて日本盤としてリリースされることでしょう。今回のアンケートでの「お気に入りのスラッシュ・アルバム」でブッちぎりのNo.1を勝ち取った本作がスラッシュ・メタルの歴史的名盤として語り継がれる理由として、その音楽もさることながら、何よりも“アティテュードとしてのスラッシュ・メタル”がこの1枚にすべて凝縮されているからだと僕は考えています。スラッシュは元々メタルが持っていた速さ、激しさ、怒りというコアな側面のみを突き詰めたものと僕は解釈しますが、スラッシュ・メタルが登場した80年代前半の作品の中で、最もそれを端的に表現していたのが本作でした。速さという点で本作を上回るものはいくつもあったし、演奏もお世辞にも完璧とはいえないものがありましたが、本作で表現される、スラッシュらしい怒りや暴力性は今なお強いインパクトを残し、しかもそれはここにきてさらに凄味を増しているように感じます。ゲイリー・ホルトがしばしば口にする“スラッシュ・メタル”というタームは、物理的な速さよりも“暴力性”を指しているのではないでしょうか。特に再結成後のアルバムにはその意識が強く反映されているように感じます。"A Lesson In Violence""Strike Of The Beast"なども勿論最高ですが、"Exodus"のリフは未だもってキラー!昨年発売された本作の再録盤「Let There Be Blood」でもその格好良さは奇跡的ですらありました。
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YESのほぼ全タイトル瞬殺に端を発する新規リマスター+高音質CD化+国内LP初回盤の帯復刻という“紙ジャケ再発・勝利の方程式”ですが、今回ユニヴァーサルは1つ前のエントリーでご紹介したリック・ウェイクマンの他にBLACK SABBATHでもこの方程式を踏襲しました。特にSABBATHの場合は帯付きのオリジナルLPは中古盤屋の店頭はおろか、ヤフーオークションなどでも殆ど見かけることができないため、テイチク、ビクター、ストレンジ・デイズ、ストレンジ・デイズSHM-CDに続いて実に5回目の紙ジャケ再発となる今回はまさに決定版といえる形になったのではないでしょうか。しかし、そのラインナップの中で最も早く店頭から姿を消したのがオリジナルSABBATHのカタログ中でも特に評価の低い本作であったというのはなんとも皮肉なものを感じます。恐らく本作が紙ジャケ化されるのは初めてだったからだと思いますが、こういうことになるなら(今回何故かラインナップから漏れた)「Never Say Die」も出しときゃよかったと、今頃ユニヴァーサルは思っているのではないでしょうか。

本作の帯でSABBATHは「パープル、ツェッペリンと並ぶブリティッシュ・ハード・ロックの御三家」と称されていますが、唯一来日公演を行わなかったことと、音楽的に日本人好みの明快さに欠けていたもあり、当時日本における評価は他の2組に大きすぎるほどの遅れをとっていました。なにしろ本作のリリース当時の「ニューミュージック・マガジン(現ミュージック・マガジン)」誌'76年12月号のレビューでは
「音楽の内容よりも話題先行でブリティッシュ・ロック界を泳いできたブラック・サバス」
「ヴォーカルがなんともいやらしい」
「ベテラン・ハード・ロッカーがこの調子じゃ、今後安心してまかせておけませんなぁ」
と見事なまでに酷評されています。実はSABBATH「Paranoid」リリース後の'71年4月に来日公演を行うことになっていましたが、これがトニー・アイオミの病気を理由にキャンセルされ(一応そういうことになっていましたが、後にアイオミは「日本に行くなんて聞いてねえよ」とこの話そのものを否定)、その後オリジナルSABBATHとして日本の地を踏むことはありませんでした。もし'71年の段階で来日していれば、現在に至るまでの評価は大きく違ったものになっていたのではないでしょうか。

で、本作の話に戻ると、キーボードやストリングスを多用したアレンジと、それまでのSABBATHらしいダークネスが音楽、歌詞の両面で後退してよりオーソドックスなHRスタイルに移行したことがファンの反発を買いましたが、それで評価が落ちることはある程度仕方ないとしても、作品単体としては良い曲が多数収められた好盤といえます。オジーは本作がアイオミ主導で作られたことを最大の間違いと断言し、チャート・インすらしなかったこともあって本作をもってオジーは一時バンドを脱退することになります。しかし皮肉にも本作のキャッチーなスタイルは確実にソロ転向後のオジーの音楽性に受け継がれており、今となってはある意味オジーにとってのミッシング・リンク的な役割を果たしている1枚といえるのではないでしょうか。
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