Music's Gonna Set Me Free...
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RATING: 9/10

過去数作と同様に曲作りとレコーディングを同時進行で行い、浮かんでくるアイディアを次々に詰め込んだためにどんどん曲が長くなっていく傾向は相変わらずながら、今作では超絶技巧よりもメロディに最大限の配慮を払った結果、ダーク&ヘヴィなサウンドとキャッチーなメロディの同居という、アルバム・タイトルとジャケットが示すテーマを実に分かり易い形で表現しており、これだけの大作指向で、かつ曲ごとのタイプを変えながらも、常にダレることなく進んでいく展開の構成力が何よりも印象に残ります。僕にとっての聴きどころはやはり後半。どこかで聴いたことのあるフレーズが連発される"The Shattered Fortress"は最初聴いた時に「なんだこれ」と思いましたが、「Six Degrees~」以来続けてきた“アルコール依存症を克服する12のステップ”の完結編ということで、過去のステップの断片を組み合わせて最後に"The Glass Prison"のイントロで締める構成に思わず納得。おそらく多くの人がやっているであろう、iPodでこのシリーズをプレイリスト化して聴くのを僕もやってみましたが、前の4曲の中でもフレーズの流用がふんだんに行われており、不思議と統一感が出ているのが面白い。是非今後のライヴで12のステップを通しで演ってほしいものです。"The Best Of Times"歌い出しのアレンジはモロにRUSH"The Spirit Of Radio"を思わせ、つい苦笑してしまいますが、この曲に関してはペトルーシの渾身の名演といえる泣きまくりのエンディング・ソロがすべてをチャラにしてくれているような気がします。"The Count Of Tuscany"は前半の怒涛の変拍子大会で緊迫感を煽りつつ、後半で急転してアコースティックへ移る展開。エンディングSEがYES"Close To The Edge"のイントロSEを思わせるという一部の評判ですが、確かに似ていますがこんなところにまでパクリだなんだとツッこんでいたらキリがないでしょう。

ミカエル・オーカーフェルト(OPETH)を意識したと思われるポートノイのヴォーカルが安っぽく聞こえて仕方がないことを除けば、今聴いてもやや微妙な印象が拭えない前作に比べると聴き応えには雲泥の差があります。3枚組デラックス盤に収められた今作のインスト・ミックス盤(ヴォーカルだけでなくギター・ソロ、キーボード・ソロもカット)を聴いていると自然と頭の中で歌メロが浮かんでくることからも、今作のメロディ面への自信が窺えるでしょう。個人的には素直に快作と言いたい1枚です。レーティングはオリジナル・アルバムのみに対しての点数です。カヴァーCDはあくまでもお楽しみ、ということで。
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RATING: 8/10

恐ろしいほどのペースでソロ作品をリリースし続ける(録音時期は多岐にわたっていますが)オマー・ロドリゲス・ロペスですが、活動の核となるTHE MARS VOLTAでも前作から1年半というハイ・ペースで5作目となる新作をリリース。過去最高にアグレッシヴな作りだった前作から一転して“静”の側面を全面的に押し出した作りで、従来路線の曲といえるのは"Cotopaxi"のみ(それでも過去の作品に比べるとブッ飛び加減は控えめ)ということで、またしても賛否両論を呼ぶことは必至といえそうな内容です。ブッ飛んだヤツを聴きたけりゃ今作の直前にリリースされたEL GRUPO NUEVO DE OMAR RODRIGUEZ LOPEZのアルバムを聴いてくれ、といわんばかりの突き抜けた開き直りようで、常に新たな路線を開拓し続けようとするオマーの貪欲な姿勢を垣間見ることができます。 

しかしそうした変化に捉われることなく冷静に聴き進めていくと、繊細な声で叙情的なメロディを歌い上げるアコースティック系の曲からは70年代プログレからの影響が色濃く感じられるし、スローな曲でも変拍子が以前とは違ったベクトルから緊迫感を演出していき、いくら表面的な音像が変わろうとも、音に込められた熱量の高さはそれまでと全く変わっておらず、やはりすべてがTHE MARS VOLTAにしか作り得ないものだと感じました。真にプログレッシヴな姿勢を映し出し、これまでの曲単位からアルバム単位での“予測不可能”な段階へ...という新たな局面を見せた今作は、あと何枚かアルバムを重ねていくうちにその真価が見えてくる、そんな1枚ではないか...と、今は言いたいですね。
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先頃ポール・ロジャースにより活動終了が発表されたQUEEN + PAUL RODGERSが昨年12月1日の世界エイズ・デーにウクライナで35万人(!)を集めて行われたフリー・コンサート(!!)の模様を収めたDVD。前回のツアーでは3曲演っていたFREEの曲は今回は"All Right Now"のみで、代わりにBAD COMPANY"Seagull""Shooting Star"という渋めの曲をセレクトしたり、前回はブライアン独りによる弾き語りだった"'39"がバンド・メンバー全員参加によるジプシー風アレンジでプレイされるという違いはあるものの、基本的には前回のツアーとほぼ大差ないセットの流れ("Radio Ga Ga"を演ってないのが残念!)。しかしなんといってもこのDVDの目玉は実に35万人という想像を絶する数のオーディエンスの熱狂ぶりと、それに応えるバンドの熱演の相乗効果。特にラストの"We Will Rock You""We Are The Champions"でほぼすべての観衆が両手を振り上げるシーンは圧巻の一言。今のロック界でこれだけの規模のライヴをやれるバンドがどれだけいるか。今作はQUEENの楽曲が未だそれに値することを証明した貴重な記録だけに、QUEENとロジャースの合体が2回のツアーとアルバム1枚で終わってしまったこと、そしてもう1度日本に来なかったことが本当に残念です。散々「死んでもこれをQUEENとは認めない」と言われようとも、果たしてヴォーカルがポール・ロジャースでなかったらこれだけのものは生み出せただろうか。たとえ“疑似体験”だろうと、彼らが素晴らしいロック・ショウを見せてくれたことは紛れもない事実です。夢を本当にありがとう。

このエントリーを書いている時点ではまだ日本版は出ていないため、僕が購入したのは勿論輸入版ですが、オプションで日本語の字幕を表示できるのが非常に嬉しいです。IRON MAIDEN「FLIGHT 666」の輸入版もそうでしたが、最近のEMIは実に良い仕事をしていますね。
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RATING: 8/10

このところドゥーム、HRに限らずヴィンテージ・ロック全般を扱うレーベルへと変わりつつあるRise Aboveから、DIAGONALに続く新たなるプログ・ロックの刺客といえるサンディエゴ出身の5人組のデビュー作。先のDIAGONALがジャズ・ロック色が強かったのに対し、こちらはPINK FLOYDからの影響が強いサイケデリックなスタイルが中心で、そこにフルート、メロトロン、ハードかつブルージーなギターなどが積み重なって壮絶なまでの泣きを演出していく。頼りなげなヴォーカルの声質もこの音楽性にはジャスト。10分超えの曲が4曲、全8曲でトータル78分とCD収録時間の限界まで音を詰め込んだ大作指向ながら、ドラマの洪水と白熱する演奏の前にどんどん引き込まれていきます。これをアメリカ人が2009年に作り上げたというのが信じられないほどに、その音像は70年代前半のブリティッシュ・プログレッシヴ・ロックを徹底的に研究・咀嚼したものであり、よくこんなバンド探してきたな、と思わずにはいられません。HIGH ON FIREなどを手がけたアリック・ローパーによるロジャー・ディーン・リスペクトなジャケットも秀逸。「ストレンジ・デイズ」や「ユーロ・ロック・プレス」の読者にはチェックの価値ありといえる1枚です。

 
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SAXON30周年記念再発シリーズ第2弾の最後は、イギリスを制圧した後の次なる標的として、アメリカへの侵攻を開始した'84年リリースの6作目です。

前作でリフ・オリエンテッドな路線に限界を感じたこともあってか、今作では歌メロに重点を置いた路線へと大きく傾いていきますが、その歌メロがポップな感触のものが大半を占めていたことがファンの反発を買い、特に"Sailing To America"はそのタイトル故にアメリカへの身売りと見なされてしまい、旧来のファン離れを引き起こした上に新規ファン層の開拓にも失敗するという最悪の結果を招いてしまい、本作以降SAXONは長い低迷期に突入していくことになります。しかし本作がどうしようもない駄作かというと決してそんなことはなく、荘厳なタイトル・トラックは「ライヴで演らないと暴動が起きる」と語っていたほどに長いことライヴの定番として重要な位置を占めていましたし、ビフのヴォーカルも歌メロに合わせた向上の跡が窺え、個人的には前作で演りたかったことが本作でようやく形になった、という見方をしています。それに本作で聴けるポップさは1stの頃から既にあったし、傑作2ndにも"Suzie Hold On"というポップ・ナンバーがあったわけで、それを踏まえた上で本作に接すれば決して違和感は感じないと思います。それまでの暴走ドライヴィン・チューンがほぼ姿を消したのは確かに残念でしたが...。

今回再発で追加されたボーナスはデモ・トラック9曲で、未発表に終わった"Borderline""Helter Skelter"(THE BEATLESとは別物)もありますが、この2曲は前作以前の雰囲気を残した硬派なナンバーで、アルバムのカラーに合わなかったため漏れたのではないかと思えます。なお、完結編となる「Innocence Is No Excuse」「Destiny」までのシリーズ第3弾のリリースは現時点ではまだ決まっていませんが、これまでより反響が少なくなりそうなことが予想できるだけに、慎重にリリースの時期を見計らっているのでしょう。
昨日いよいよ「LOUD PARK 09」の出場アーティスト第1弾が明らかになりましたが、それを受けて本日オフィシャル・サイトがオープンしました。

日時・会場: 10月17日(土)18日(日) 幕張メッセ

ラインナップ:
JUDAS PRIEST
SLAYER
ROB ZOMBIE
MEGADETH
ARCH ENEMY
FAIR WARNING
NAPALM DEATH
OUTRAGE
POISON THE WELL
LAZARUS A.D.


今年のヘッドライナーは「BRITISH STEEL」完全演奏が期待されるPRIEST、3年ぶり2回目の出場となるSLAYERとなりました。これはやっぱり観たい。もしかしたらSLAYERはこれが最後になるかもしれないし...。

しかし何よりも嬉しいのは去年のレポートで今年への期待として挙げた、会場が幕張メッセに戻ったことと、それに伴い3ステージ制が復活したことでしょう。懸念されていた椅子席についても2000席のみ完全指定制ながら用意され、オールド・ファンへの配慮もしっかりされています。ビッグ・ネームから未だ見ぬ強豪まで、過去最大のヴァラエティが期待できそうです。しかしFAIR WARNINGはどうみても浮いてるなぁ。
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最近旧作の再発に力を注ぐCentury MediaからARCH ENEMYの2ndと3rdがリマスター+ボーナス追加で再発されました。今回ご紹介する3rdには日本盤ボーナスだった2曲の他、JUDAS PRIEST"Star Breaker"IRON MAIDEN"Aces High"のカヴァー2曲、日本のみの発売だったライヴ盤から5曲と合計9曲のボーナスが追加されています。ライヴ盤の残りの曲は2ndに追加されています。今回の再発にあたり、ブックレットに本作時のヴォーカリストであったヨハン・リーヴァが当時を回想する短いライナーノーツとマイケル・アモットによる各曲別コメントが加えられています。

僕は目下の最新作をレビューした際に本作をARCH ENEMYの“私的最高傑作”と評しましたが、それは今でも変わることはありません。前作まではデス・メタル色とクラシック・メタル色のバランスがいまひとつとれておらず、よって必殺のギターも強引にねじ込んだように聞こえることが個人的には残念だったのですが、クラシック・メタル・サイドに根差した曲作りに大きくシフトしたことにより、曲を構成する全てのパーツが見事に噛み合うようになり、前2作を遙かに凌ぐ比類なき完成度を獲得しました。オープナー"The Immortal"のギター・ソロ・バトルや"Demonic Science"のエンディング・ソロは今でも間違いなく名演といえます。しかし、今作を私的最高傑作たらしめる最大の要因はなんといってもリーヴァのヴォーカルにあります。確かにデス・メタル・ヴォーカリストとしてパワーが不足しているのは認めるし、リズム感の弱さを嫌う人が多かったのも事実ですが、本作では速い曲で平気でリズムからモタるシャウトすらもカッコよく感じられるし、何よりリーヴァは当時デス・ヴォイスに感情を込めることのできる数少ない逸材だったわけで、そのポテンシャルを最大限に発揮した、まるで人生捨てたかのような負け犬デス・ヴォイスが最高にクールだったのです。リーヴァ自身もライナーにおいて「本作がこれまで録音、発表してきた中で最高のヴォーカル・パフォーマンス」とコメントしています。

しかしそのリーヴァの奮闘も空しく、よりワールドワイドな展開を視野に入れ始めたマイケル・アモットに「世界を相手に活動するにはキャラが弱い」という烙印を押され、本作をもって非情の解雇。新たにアンジェラ・ゴソウを加え、メタル原理主義者を完全に味方につけてのその後の躍進については言うまでもないでしょう。一方のリーヴァは新たにHEARSEを結成、その負け犬ぶりにさらに拍車が掛かっていくことになります(間もなく新作もリリース!)。この秋にはリーヴァ時代の楽曲をゴソウのヴォーカルでリメイクしたアルバムのリリースが控えており、いよいよリーヴァの影はARCH ENEMYの歴史から完全に消されようとしています。しかしこのアルバムの曲を歌う権利があるのはリーヴァ以外にあり得ない!僕は今でもそう思いますし、そんな時期に本作がリーヴァのライナー付きで再発されたことには大きな意義があると信じてやみません。
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70年代プログレッシヴ・ロックのスーパー・バンドとして鳴り物入りでデビューを果たしたU.K.が活動中にリリースしたオリジナル作2枚とライヴ盤「Night After NIght」がデビュー30周年を記念し、音楽的な中心人物であったエディ・ジョブソン自身によるリマスターで先日再発されました。日本盤はベル・アンティークから紙ジャケSHM-CDでのリリースということで、やや値が張るのが気になりますが、なにしろ'06年にEMIから紙ジャケで出た際にも実現ならなかった待望のリマスター化ということで、ファンはチェックせざるを得ないところでしょう。オリジナル作2枚はどちらも甲乙つけがたいプログレの逸品ですが、僕が思い入れを持つのはやはり'78年リリースの「憂国の四士」という秀逸な邦題がつけられた1stです。

パンク・ロックの台頭によって壊滅状態にあったプログレッシヴ・ロック界を救うべく、KING CRIMSONROXY MUSICURIAH HEEPのジョン・ウェットン(Vo,B)とYESKING CRIMSONのビル・ブラッフォード(Ds)、SOFT MACHINEGONGのアラン・ホールズワース(G)、CURVED AIRROXY MUSICのエディ・ジョブソン(Key,Vln)という超強力なメンツで'77年にU.K.を結成、翌'78年に本デビュー作をリリースしました。ホールズワースとブラッフォードによる超絶技巧と来るべき80年代を予感させるジョブソンの未来的なキーボード・サウンドが70年代プログレの伝統を継承しつつ、よりモダンに進化したサウンドを作り上げています。冷静に聴くと歌メロは結構むりやりにはめ込んでいる感もありますが、そこはウェットンのダンディ・ヴォイスとメロディ・センスにより、絶妙のさじ加減が実現しています。

前半は3部構成の組曲でのシンフォニックなアプローチ、後半ではジャズ・ロック的なインタープレイの応酬とカラーは分かれていますが、既にヴォーカル・オリエンテッドな方向に向かっていたウェットンとジャズ指向のホールズワースとブラッフォード(実際、後に2人とも完全にジャズ/フュージョンの人になってしまうわけですが)の接点がこれ以上ないほどにギリギリのバランスで表現されており、このメンツがアルバム1枚のみで終わってしまったのもなんとなく理解できる内容です。実際今作で示されたサウンドのうち、ジャズ的な側面は脱退した2人がその後結成したBRUFORDにそのまま引き継がれることになります。残ったウェットンとジョブソンは新たにテリー・ボジオ(Ds)を迎え、よりヴォーカルの比重を強めた2作目「Danger Money」をリリース、来日公演も行いますが、結局そこでパンクの嵐の前にはかなく散っていくこととなりました。ウェットンはその後ソロ活動を経てASIA結成に動くわけで、U.K.はウェットンがプログレッシヴだった最後のバンドということになります。ジョブソンは昨年、より進化したヘヴィ・プログ・ロック・サウンドを具現化すべくUKZを結成しEPをリリース、現在はフル・アルバムを制作中です。
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