Music's Gonna Set Me Free...
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RATING: 7/10

ドイツのメロディック・デス・メタル・バンドによる1年半ぶりの4作目。僕が前作「WOLVES」のレビューで「狙い過ぎの気がする」と評した女性ヴォーカル、サビーネ・ウェニガーのポップな歌唱とブルータルなメタル・サウンドのコントラストを強調したスタイルを今作でもそのまま引き継いでいますが、ヴァースでグロウル、サビでクリーン・ヴォイスというありきたりな手法からツイン・ヴォーカルが掛け合いするパターンを増やしたことで、前作で感じた狙い過ぎの印象が大幅に解消されたような感があります。また前作でも用いられていたトランシーなキーボード・アレンジの他にも、"Deathrace"では終盤で突如完全なヒップホップに転じたり、その次の"Fire At Will"ではサックス・ソロ(!)が飛び出したりするなど、アレンジ面での冒険的な試みで次作以降の発展性をも窺う作りとなっています。

しかし個人的には女性ヴォーカルという方法論はやはり安易に感じられてしまい、腑に落ちないところがあります。デス・メタル・パートだけでも十分一線級に到達できるだけの実力を持っているのに、やはりそれだけでは満足できないんだろうなぁ、自分達だけのオリジナリティを打ち出したいんだろうなぁという気持ちは痛いほどに伝わってきますが、その結果がコレというのはどうしても納得できません。実際に曲を書いている男のメンバー達に「お前らホントにこれでいいのかよ!解散したら女のほうはソロ・デビューして売れて、お前らなんてニュー・バンド組んでも全く見向きもされなくなるかもしれないんだぞ!」と言いたくなる気分ばかりが募る1枚です。おまけに言うなら死ぬほどダサいジャケットももう少し何とかならなかったのか、といったところです。作者はその界隈では結構有名な人らしいですが。
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先日TEMPESTのエントリーでアラン・ホールズワースについて書きましたが、その流れで次はホールズワースの後任としてTEMPESTに加入したオリー・ハルソールについて書いていこうと思います。TEMPESTではヴォーカルも兼任し、テクニカル・ジャズ・ハード・ロックだった音楽性を一気にポップな方向性に移行させましたが、ハルソールといえばやはり、ホールズワースに一切引けをとらないギターの腕前を特筆すべきでしょう。そのテクニックとセンスを世に広めたのがPATTOです。

元々モッズ系ビート・バンドだったTIMEBOXがキーボーディストの脱退を機に、自身の音楽を追求すべくヴォーカリストのマイク・パトゥの名をとってPATTOと改名し、'70年にVertigoから本デビュー作をリリースしました。一般的にはブルース・ベースのHRと呼ぶのが通りがいい音楽性ですが、そこにユニークな質感を持ち込んだのがハルソールのジャズをベースとしてブルースからR&Rまでを自在に行き来するテクニカルなギター・プレイ。彼のスリリングながらもあくまでもクールなソロとパトゥのソウルフルな熱唱の絶妙なコントラストがそのままバンドのイメージを決定づけています。後半に進むとジャズ色がさらに強まり、リズム・セクションもテクニカルなプレイを繰り出してきます。特に"Money Bag"やCD化の際に追加された未発表曲"Hanging Rope"における長尺のジャズ・インプロヴィゼーションは圧巻の一言。単にジャズ・ロックというにはエッジが強く、またブルース・ロックというタームから連想される泥臭さとも距離を置いたスタイリッシュなイメージですが、そこには確かなロック・スピリットが存在するという、同時代のHRバンドとは一線を画した個性的な音を作り上げています。よりファンキーな色合いを強めた次作「HOLD YOUR FIRE」が一般的には代表作とされ、個人的にも良いアルバムだと思いますが、当ブログ的には本作を押します。ハルソールがここで築き上げた音楽性は後に加入するTEMPESTにも持ち込まれることになります。

しかしこのバンドは本作の高度な音楽性に全くマッチしないシュールなジャケットが災いしてか過小評価の憂き目に遭い、以後もその評価を覆せぬまま、4作目をお蔵入りにして'73年に解散しました。ハルソールはTEMPEST解散後の'75年にパトゥと再合流してBOXERを結成しますがこれもわずか2年で脱退、その後はTHE BEATLESのパロディ・バンドTHE RUTLESを経てケヴィン・エアーズの片腕として活動を続けましたが、'92年に心臓発作のため急死しました。一方のパトゥも'79年に咽頭がんのため死去、英国B級ハード・ロックの名コンビが既に2人とも他界してしまったのは大きな損失としか言いようがありません。
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RATING: 9/10

カナダの4人組ハイテク・ブルータル・デス・メタラーによる、前作「MECHANICS OF DYSFUNCTION」から1年半という意外なほど短いスパンで届けられた2ndフルレンス。速さと技巧を極限まで突き詰める音楽性では今年BRAIN DRILLが決定打といえるアルバムを出してしまったため、相対的なインパクトの低下が懸念されましたが、彼らに関してはそれは杞憂であったといえます。先のBRAIN DRILLは聴いてて思わず笑いがこぼれてしまうほどに技巧の追求が目的化した感がありましたが(勿論これはこれで凄いのですが)、BTMの場合はやはり速さと技巧を前面に出しつつ、あくまでそれらを手段とすることでストイックなまでに無慈悲な音の暴力としての強度、殺傷力を突き詰めており、そこには一切の笑いが入り込む隙などありません。つい笑おうものなら即座に無表情のままブラスト・ビートで全身を容赦無くタコ殴りにしつつギター・スウィープで思考回路を破壊し、倒れたところをツーバスで踏みにじり、鋼鉄リフで肉から骨まで切り刻んでやるといわんばかりの恐ろしいまでの殺気。前作を上回る異常なまでにヘヴィなスロー・パートもブラスト・ビートとのダイナミズムを際立たせており、全メンバーが一丸となってテクニックをぶつけ合う姿にはある種の神々しさすら感じられます。前作を超える聴き応えを実現した文句なしの力作。

"Condemned"
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