Music's Gonna Set Me Free...
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RATING: 8.5/10

前作「Colors」を2007年私的年間ベスト10の1位に選出した、ノースカロライナ出身の5人組による2年ぶりの5作目。前作があれだけの傑作だった故に若干の不安もありましたが、決してその前作に勝るとも劣らない聴き応えを誇る力作を引っ提げてきました。往年のプログ・ロック・バンドへのオマージュともいえる叙情性を増量し、変拍子を多用したテクニカルな演奏を全面的に盛り込むなど、前作で開眼したプログレ・スタイルにさらなる確信をもって取り組んだのが一聴してわかる作風であり、前作にもましてDREAM THEATER度が増したのがやや気になるところではありますが(特にラストの18分におよぶ"Swim To The Moon"は...)、デス・メタリックなブルータリティも依然健在であり、他の音楽要素を取り込むアイディアとアレンジ力にさらに磨きがかかったこともあり、聴き通すうちにそれは些細なことに思えてきます。演奏面に重きを置くあまりキャッチーさという点では前作よりも後退した感は否めないものの、この演奏だけでも十分に聴く価値はあるといえるでしょう。

僕が購入したのはアルバムのメイキング映像と全曲の5.1chサラウンド・ミックス(ギターが奥に引っ込み気味なのが残念)を収めたDVD付きのデラックス版ですが、メイキング映像ではなぜかPerfumeの"ポリリズム"を聴いて踊るメンバー達の姿が...どこで手に入れたの?
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RATING: 9/10

NIRVANA直系の轟音グランジ・サウンドにUK産らしい繊細な歌メロを乗せ、日本でも一部で熱狂的なファン層を獲得しているNINE BLACK ALPSですが、やはりその音楽性は現在のトレンドには合わなかったのか、前作「Love/Hate」リリース後にIslandとの契約を切られ、オフィシャル・サイト通販およびダウンロードのみというほぼ自主制作に近い形でリリースした2年ぶりの3作目。サイトで試聴して(ちなみに全曲フルで試聴可能)あまりの格好良さにぶっ飛んだものの、熱帯雨林やHMVでも一切取扱いがなく、iTunes Storeでも配信される気配が全くないため、遂に自ら日本からオーダーをかけて同発のシングル"Buy Nothing"と共に入手に漕ぎ着けました。

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前作はノイズを抑え目にして歌の比重を強め、よりUKロックの王道へ移行した音楽性を示しましたが、レーベル・ドロップが以前のヤケクソな激情を呼び戻したのか、今作では再び1stの轟音グランジ・スタイルに回帰。しかしその1st以上にダーク、ヘヴィ&グルーヴィーな色合いが増し、その音像は90年代に日本のHR/HMファンが骨の髄まで憎み、忌み嫌ってきたグランジのフォルムそのもの。だがそれがどうした!このヘヴィネスとグルーヴが作りだす生々しさには一発で心を揺さぶられ、そこに前作で開花させた繊細なメロディ・センスが存分に活かされており、1st、2nd双方の美点を1枚に合わせた作りはこのバンドに求められているものをこれ以上ない形で表現したものといえるでしょう。ブックレットに歌詞が記載されていないため何を歌っているのかはわかりませんが、「内側から締め出された」というアルバム・タイトルからして、彼ららしいネガティヴな色合いが満載されていることは確かでしょう。もうすぐ2010年だぜ、いい加減グランジとかそういったくだらねえ固定観念なんて捨てて、単にカッコ良いロックとして聴けばいいじゃん、そう言いたくなります。NIRVANAだって最初はそう捉えられていたんだし。あえてサイト通販のみというリリース形態で勝負したところにも彼らの本気を感じます。私的年間ベスト10入り確実の傑作。
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RATING: 9/10

当初7月の予定が延期に延期を重ね、とうとう「LOUD PARK」の後になってしまった3年ぶりの10作目。今年久々の快作を出したKREATORはアルバムをほぼライヴに近い形式で録音しましたが、今回のSLAYERは曲を未完成のままスタジオに持ち込み、ジャムで完成させてそのまま録音という形式をとっています。ヴェテランのスラッシュ・バンドにとって、寄る年波をテンションでカヴァーするにはこうしたスポンテニアスな手法が有効だということでしょう。そして今作の場合は、不穏なイントロから突撃ファスト・チューンになだれこむアルバム導入部、中盤でスピードを落としてタメに入りソロとともに再び激走に転じる強引な展開、言いたいことだけ言いきってスパッと終わるエンディングといった'90年代以降のSLAYERの芸風を継承したものですが、その一方でデイヴ・ロンバード復帰で期待される往年のスタイルへの回帰が前作にもまして確信的に打ち出されています。MEGADETHの新作でも感じられた「お前らが聴きたいのはコレなんだろ、オラ」という開き直りは否が応にも過去の名作と比較されるという多大なリスクを伴いますが、先に記したスポンテニアスな制作手法がプラスに働き、何度もリピートしたくなる求心力と説得力が存分に示されていると感じました。凶暴なシャウトとギター・ソロも、ファストかつグルーヴィーなドラムも依然として健在。基本的にSLAYERのアルバムはどれもハズレがありませんが、これは久々にハズレなしのレベルを超えて燃えた。
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DREAM THEATERのキーボーディストが今年2~3月にかけて録音した新作ソロ・アルバム。自身のオフィシャル・サイトのみでリリースしているものですが、僕は先日都内の大型CDストアで今作が並んでいるのを見て、思わずレジに持って行ってしまいました。値段はやや張りましたが...。この他、日本ではiTunes Storeでも配信されています。

こんな販売形態もあってか商売意識を殆ど感じさせない酷いジャケットですが、DTのバラード9曲のピアノ・アレンジに加え、自身の書き下ろしによる新曲を3曲加えた美麗なピアノ独奏の数々は元々のメロディが優れているのに加え、随所にスポンテニアスなフィーリングを持ち込んだインプロを織り交ぜての豪快かつ繊細なプレイによって純粋に聴く者の心を打つ、BGMにするもよし、じっくり聴き込むもよしの逸品に仕上がっています。これまではその殆どがテクニカルな側面を強調していたDTのスピンオフ作品の中で、メロディにスポットを当てた今作が一般的な流通に乗らないのは実にもったいない気がします。あくまでもファン向けの作品ではありますが。
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RATING: 8.5/10

バンドの看板であったクリスチャン・アルヴェスタム(Vo)の脱退という一大事があったにもかかわらず、前作からわずか1年余りというハイ・ペースで出された4作目。これだけ早く作られたのはバンドの売りであったヴォーカル面で表現したいことが沢山あったからだと思いますが、それを具現化すべくアルヴェスタムの脱退を発展的に捉えたかのように、今作よりグロウル担当とクリーン担当というツイン・ヴォーカル体制となりました。

暴力的なグロウルと透明感のあるクリーン・ヴォイスのコントラストはそのままに、掛け合いや早い切り替えを増やすことにより、これまで以上に多彩な曲調を実現。エレクトロ・アレンジとスラッシーなスピード感の双方もより強化され、SOILWORKのフォロワーからスタートして模索してきた独自の方向性がここにきて遂に確立された感もあります。前作を聴いた時に「現時点でのバンドのポテンシャルは出し尽くしたのではないか」と書きましたが、ツイン・ヴォーカル体制によってそのポテンシャルはさらに拡大されたのではないでしょうか。前2作同様キラー・チューンと呼べる曲は少ないですが、全体のレベルが大きく底上げされ、バンドの最高傑作といえる充実した仕上がりとなりました。
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欧米ではあまり知られていないヨハン・リーヴァ時代のアルバムからの曲をライヴのレパートリーに加えようという目的で制作されたセルフ・カヴァー作。僕は以前にも書いた通りのヨハン・リーヴァ信奉者であるわけですが、これまでほぼ一本調子で押し通している印象が強かったアンジェラ・ゴソウのヴォーカルが、今作では表現の幅を広げており、リーヴァとはタイプは異なるものの、少なくとも曲のスタイルに合わせようとする意思が窺えます。

むしろ今作で賛否を呼びそうなのがその音作り。曲によってはザクザクしたリフの刻みがより格好良い効果をあげているものもありますが、当然というかオリジナル版にあった荒々しい勢いと生々しさは洗練に取って代わられており、おまけにゴソウの音域に合わせたのかキーも上げられています。スラッシュ・メタルのセルフ・カヴァーでキーを下げてあれこれ言われたことは過去に何度かありましたが、逆にキーを上げたというのは今まで聞いたことがありません。これは正直言って初めて聴いた時には相当の違和感を感じました(特に"Dead Inside"は疾走感も1割減でオリジナルのほうが100倍はよかった)。カラオケではどんなに音程の高い曲でも絶対キーを変えずに歌っている僕としては、多少無理してでもオリジナル通りのキーでやってほしかった気がします。最初に書いた通り欧米のファン向けの企画盤ということで、あまり日本のファンのことは意識していないのかもしれませんが、良くも悪くもARCH ENEMYの現在を如実に反映した1枚といえるでしょう。
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RATING: 8/10

'06年に活動を終了したSTRAPPING YOUNG LADのジェド・サイモン(G)を中心とするプロジェクトのデビュー作ですが、日本ではむしろFORBIDDENTESTAMENTのグレン・アルヴェライス(G)と久々の現場復帰となる元EXODUSのスティーヴ“ゼトロ”スーザ(Vo)が参加していることのほうが大きく扱われそうな気がします。リズム・セクションをSYLの同僚で現FEAR FACTORYのバイロン・ストラウド(B)とジーン・ホグラン(Ds)が務めているため、デヴィン・タウンゼンド抜きのSYLといった雰囲気もありますが、音のほうもSYLをよりストレートにしたかのようなハイパーなスラッシュ・メタルであり、ゼトロのヴォーカルもEXODUS時よりもさらにハイテンションなスクリーミングで迫り、バックの音と十分に渡り合っています。サイモン、ストラウド、ホグランの3人はZIMMERS HOLEでも一緒にプレイしており、音もやはりSYL譲りですが、しっかり差別化は図られています。そうなると今作の聴きどころはやはりゼトロでしょうか。EXODUS時代にはポール・バーロフ信奉者からあれこれ言われることが多かったですが、今作では暴力性のアップに見事に貢献。ここまでポテンシャルを引き出せるとは思いませんでした。
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RATING: 7/10

ヴァージニアの新世代クロスオーヴァー・スラッシャーによる2年ぶりの4作目。このジャケットからも判るように音楽的には前3作と全く変わることはなく、その意味では安心して聴ける1枚といえますが、僕が'07年の年間ベスト10第7位に挙げた前作「The Art Of Partying」に比べると音作りの棘がやや弱まり、そのせいで全般的に破壊力が薄れてハードコア由来のスポーティな軽快さが悪い方向に作用してしまっている感があります。もう一つの特色であったマッチョなシンガロング・コーラスの頻度が減ったのもインパクトを弱めています。プロダクションが前作並みであればもう少し印象は違ったかもしれませんが、前2作の充実で期待も大きかっただけに、これは残念。
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RATING: 8/10

ニュージャージー出身の3人組がNuclear Blastからリリースした2作目。前作は未聴。ジャケットはモロにALESTORMばりのパイレーツ・メタル系で、アーティスト写真でも海賊のコスプレをキメていることから音のほうもソレ系のパワー・メタルかと思いきや、出てきた音は至ってストレートなスラッシュ・メタル。野太い吐き捨て型ヴォーカルやマッチョなシンガロング・コーラスからはUSハードコアからの影響も見え、少なくともバンド・サウンドにおけるパイレーツ色は驚くほど薄く、そっち方面の要素は突然顔を出す、時にフォーキーだったり南国風味だったりするアコースティック・インストで表現しており、そのミスマッチぶりが人によってはウザくも感じられることでしょう。しかしその両面を融合するとスラッシーな爽快感が失われてしまいそうなので、とりあえずはこのままでもいいか...と思えるほど突撃スラッシュ・チューンの破壊力は際立っており、ヘッドバンガーズ・アルバムとしては間違いなく高品質の1枚といえます。

 
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RATING: 8.5/10

イギリス出身の5人組によるデビュー作。音楽的にはゴア・グラインド寄りのブルータル・デス・メタルといえるものですが、最大の特徴はなんといってもその超絶技巧。ギター・ソロは一切ないものの、終始ハイ・スピードをキープしたまま目まぐるしく変化し続けるリズムとギターの絡みが一般的なロックやメタルのフォーマットを完全に無視して激音のウネリを作り出しており、歌詞の聞き取りが殆ど不可能なガテラル・ヴォイスがその混沌に拍車を掛ける。ベースはアルバムを聴く限りでは殆ど埋もれてしまっていますが、YouTubeのライヴ映像を見るとフィンガリングとスラッピングを超高速で繰り出しており、CDでは音は殆ど聞こえないのに実はベースが一番凄いことやってるというのがまた狂っている。まさしくフリー・アヴァンギャルド・ブルータル・デスとでもいえそうなユニークな音です。しばらく強烈なインパクトのなかったUnique Leaderの面目躍如といえる、個人的にはこれも2009年裏名盤候補の1枚です。



 

 
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RATING: 8.5/10

日本盤発売前から話題沸騰の80年代ヘア・メタル・リヴァイヴァル・バンドによるデビュー作。ギタリストが元FIGHTだということはもうこの際どうでもいいでしょう。大半の曲で元ネタが見えてくる、パロディスレスレ...というより“そのもの”といえる曲が並びますが、その中でも"Fat Girl (Thar She Blows)"WHITESNAKE"Here I Go Again""Party All Day (Fuck All Night)"BON JOVI"Livin' On A Prayer"と殆ど同じ曲といっても過言ではないでしょう。しかしそれでも鬼の首を取ったように騒ぐ気にならないのは、確信犯的にエロい歌詞を乗せてパロディであることを自覚していることもさることながら、何よりも「この手の音がマジで好きだ!」という思いが音の隅々から伝わってくるからでしょう。だから僕のような、この手の音をメインに聴いてこなかったような者にも響いてくる。いずれにせよこれは1stだからこそ許される芸当であり、真価は次作以降に問われることになるでしょう。確かに今作は好きなアルバムだし売れてほしいとは思いますが、個人的にはこれで80年代が復権してほしいとは全く思いませんが。

なお、"Death To All But Metal"で「死ね」と攻撃しているPAPA ROACHも出場する「LOUD PARK 09」への出場も決定しましたが、(主催元が空気読んだのかもしれませんが)PAPA ROACHと別の日なのがちょっと残念。ここは同じ日に出て公開ディスり合いバトルでもやってほしかったような気がします。
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RATING: 8.5/10

HEXENHAUSCANDLEMASSABSTRACT ALGEBRAMEMENTO MORIMERCYFUL FATEといった北欧メタルの裏街道を歩んできたギタリスト、マイク・ウィードによるニュー・バンドのデビュー作。ここまでのウィードのキャリアから連想されるダークなメタル・サウンドのイメージをキープしつつ、ここで一気にブルータルなスタイルにシフト。終始ザクザク刻まれるスラッシュ・リフにブラック・メタルばりの荘厳邪悪さから未来性まで多彩な表情を見せるキーボードとテクニカルかつ叙情的なリード・ギターが絶妙に絡み、日本盤ボーナス(THE BEATLESのカヴァー)を除くと全8曲と少ない曲数ながら、ファストなスラッシュ・ソングから過去のウィードのイメージを崩さないドゥーミーなラスト曲まで、実に濃密な聴き応えを提供してくれています。しかしなんといっても個人的に特筆したいのはリフの音色と格好良さ。久しぶりにギターをアンプにつないでエフェクターいじって、こんな音を出してみたいと思わせてくれた今作はまさしく私的2009年裏名盤候補といえる1枚です。
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RATING: 8.5/10

カリフォルニアの新世代スラッシュ・メタル・バンドによる2年ぶりの2作目。前作は初期スラッシュならではの殺気をその頃の空気のまま再現したという感じで、ノスタルジーのほうが先に立つような印象もありましたが、リズム・セクションが交代し、ゲイリー・ホルト(EXODUS)をプロデューサーに迎え、そのサウンドは一気にパワー・アップ。切れ味を増したリフ、ゴリゴリのベース、手数足数を増したドラムにより、テンポの速い遅いにかかわらず持ち前の“スラッシュ・メタルでしか味わえない殺気”がよりリアルに伝わるようになり、現在のEXODUSDESTRUCTIONに匹敵するほどの暴力性を獲得しました。前作でも使われていたブラスト・ビートは今作でも所々で使われていますが、あくまでもスラッシュのフォーマットの中でのフックとしての役割を果たしており、前作でのノスタルジーから打って変わって現在のシーンに真っ向から勝負に出んとする気概が漲っています。新世代スラッシャーの中から頭一つ抜きん出た存在になりました。これは是非ともライヴで観たいなあ。
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RATING: 8/10


昨年ハイテク・シュレッダーのクリス・ノリス(G)が脱退し、その後の展開が不安視されたDARKEST HOURの2年ぶりの6作目。後任として加入したマイケル・キャリガンもテクニックは申し分なく、少なくとも演奏面ではノリス脱退の痛手は感じませんが、音楽面では前作「Deliver Us」でこれでもかとぶち込んでいたメロディアスなリード・ギターが抑えられ、速い曲がさらに増えたことにより、印象としてはスラッシュ・メタル寄りに大きくシフトした(というか、直接のルーツのひとつであろうAT THE GATESに一気に接近した?)感もあります。これにより、流麗なソロをより効果的に聴かせることができるようになったのは大きいですが、その反面印象に残るリフが少なく、やはり傑作「Undoing Ruin」ほどのテンションに肉迫できていないのが惜しいところです。とはいっても十分に質は高いし、"Blessed Infection"あたりはイイ線行っていると思いますが...彼らに求めるハードルが無意識のうちに高くなっていることを実感させる1枚ですね。

 
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RATING: 9/10

過去数作と同様に曲作りとレコーディングを同時進行で行い、浮かんでくるアイディアを次々に詰め込んだためにどんどん曲が長くなっていく傾向は相変わらずながら、今作では超絶技巧よりもメロディに最大限の配慮を払った結果、ダーク&ヘヴィなサウンドとキャッチーなメロディの同居という、アルバム・タイトルとジャケットが示すテーマを実に分かり易い形で表現しており、これだけの大作指向で、かつ曲ごとのタイプを変えながらも、常にダレることなく進んでいく展開の構成力が何よりも印象に残ります。僕にとっての聴きどころはやはり後半。どこかで聴いたことのあるフレーズが連発される"The Shattered Fortress"は最初聴いた時に「なんだこれ」と思いましたが、「Six Degrees~」以来続けてきた“アルコール依存症を克服する12のステップ”の完結編ということで、過去のステップの断片を組み合わせて最後に"The Glass Prison"のイントロで締める構成に思わず納得。おそらく多くの人がやっているであろう、iPodでこのシリーズをプレイリスト化して聴くのを僕もやってみましたが、前の4曲の中でもフレーズの流用がふんだんに行われており、不思議と統一感が出ているのが面白い。是非今後のライヴで12のステップを通しで演ってほしいものです。"The Best Of Times"歌い出しのアレンジはモロにRUSH"The Spirit Of Radio"を思わせ、つい苦笑してしまいますが、この曲に関してはペトルーシの渾身の名演といえる泣きまくりのエンディング・ソロがすべてをチャラにしてくれているような気がします。"The Count Of Tuscany"は前半の怒涛の変拍子大会で緊迫感を煽りつつ、後半で急転してアコースティックへ移る展開。エンディングSEがYES"Close To The Edge"のイントロSEを思わせるという一部の評判ですが、確かに似ていますがこんなところにまでパクリだなんだとツッこんでいたらキリがないでしょう。

ミカエル・オーカーフェルト(OPETH)を意識したと思われるポートノイのヴォーカルが安っぽく聞こえて仕方がないことを除けば、今聴いてもやや微妙な印象が拭えない前作に比べると聴き応えには雲泥の差があります。3枚組デラックス盤に収められた今作のインスト・ミックス盤(ヴォーカルだけでなくギター・ソロ、キーボード・ソロもカット)を聴いていると自然と頭の中で歌メロが浮かんでくることからも、今作のメロディ面への自信が窺えるでしょう。個人的には素直に快作と言いたい1枚です。レーティングはオリジナル・アルバムのみに対しての点数です。カヴァーCDはあくまでもお楽しみ、ということで。
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