Music's Gonna Set Me Free...
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RATING: 8.5/10

イギリス出身の7人組がRise Aboveから昨年秋にリリースしたデビュー作。レーベルのキャッチ通りプログレッシヴ・ジャズ・ロックというべき音楽性で、SOFT MACHINECOLOSSEUMNUCLEUSCRESSIDAあたりからの影響を感じさせる、徹底的にヴィンテージなスタイルを貫いていますが、あからさまに○○っぽいと感じさせるところが少なく、ジャズ・ロックからハード・ロック、サイケまでを自在に行き来する構成からは、それらの影響をしっかり消化しきった上で自身の表現手法として確立していることがわかります。インプロヴィゼーションよりもアンサンブルを重視した、人によっては地味に聞こえるであろう曲想ながらも常に緊張感が持続しており、そこにバンドの実力を窺い知ることができます。全5曲で47分というアナログを意識した長さもいかにもといったところ(実際、LP盤もリリースされています)。どこを切ってもブリティッシュ・ロックらしいシケた空気が充満した、70年代初頭にVertigoNeonあたりから出ていたB級プログレが好きな人達にはまさにジャストな1枚でしょう。若いバンドがレトロ・ロックをやると大抵はHRに流れがちな中、今ではほとんどいなくなってしまったプログ・ジャズ・ロックに当時のスタイルのままで真っ向から取り組んだのが個人的には嬉しく、久々に長く付き合えるアルバムだと思いました。
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RATING: 8/10

フィラデルフィア出身の8人組による2年ぶりの新作。リリースは昨年秋ですが、僕は今年に入ってようやく音を聴きました。音楽性は前作同様、70年代HR、サイケ、ファンク、ジャズ、グラインド・コアをごちゃ混ぜにしたエクストリーム・プログレッシヴ・ロックといえるものですが、全18曲で27分だった前作に対して今作は全9曲で29分と曲がほぼ倍の長さになっており、やはりアクロバティックな演奏を中心としながらも、より緩急のバランスに気を遣った構成がとられています。要は密度の濃い演奏の聴きどころを効果的に聴かせる術を身につけており、より聴き易くなったといえそうですが、相変わらずほぼメロディ皆無で吠え叫び続けるヴォーカルとあくまでも性急な爆発力を主軸に据えた作りが、安易にプログレ的なスノビズムに着地することを拒否しているかのようでもあり、それがまた痛快です。このバンドはこれでいい。
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RATING: 7/10

ドイツのメロディック・デス・メタル・バンドによる1年半ぶりの4作目。僕が前作「WOLVES」のレビューで「狙い過ぎの気がする」と評した女性ヴォーカル、サビーネ・ウェニガーのポップな歌唱とブルータルなメタル・サウンドのコントラストを強調したスタイルを今作でもそのまま引き継いでいますが、ヴァースでグロウル、サビでクリーン・ヴォイスというありきたりな手法からツイン・ヴォーカルが掛け合いするパターンを増やしたことで、前作で感じた狙い過ぎの印象が大幅に解消されたような感があります。また前作でも用いられていたトランシーなキーボード・アレンジの他にも、"Deathrace"では終盤で突如完全なヒップホップに転じたり、その次の"Fire At Will"ではサックス・ソロ(!)が飛び出したりするなど、アレンジ面での冒険的な試みで次作以降の発展性をも窺う作りとなっています。

しかし個人的には女性ヴォーカルという方法論はやはり安易に感じられてしまい、腑に落ちないところがあります。デス・メタル・パートだけでも十分一線級に到達できるだけの実力を持っているのに、やはりそれだけでは満足できないんだろうなぁ、自分達だけのオリジナリティを打ち出したいんだろうなぁという気持ちは痛いほどに伝わってきますが、その結果がコレというのはどうしても納得できません。実際に曲を書いている男のメンバー達に「お前らホントにこれでいいのかよ!解散したら女のほうはソロ・デビューして売れて、お前らなんてニュー・バンド組んでも全く見向きもされなくなるかもしれないんだぞ!」と言いたくなる気分ばかりが募る1枚です。おまけに言うなら死ぬほどダサいジャケットももう少し何とかならなかったのか、といったところです。作者はその界隈では結構有名な人らしいですが。
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RATING: 9/10

カナダの4人組ハイテク・ブルータル・デス・メタラーによる、前作「MECHANICS OF DYSFUNCTION」から1年半という意外なほど短いスパンで届けられた2ndフルレンス。速さと技巧を極限まで突き詰める音楽性では今年BRAIN DRILLが決定打といえるアルバムを出してしまったため、相対的なインパクトの低下が懸念されましたが、彼らに関してはそれは杞憂であったといえます。先のBRAIN DRILLは聴いてて思わず笑いがこぼれてしまうほどに技巧の追求が目的化した感がありましたが(勿論これはこれで凄いのですが)、BTMの場合はやはり速さと技巧を前面に出しつつ、あくまでそれらを手段とすることでストイックなまでに無慈悲な音の暴力としての強度、殺傷力を突き詰めており、そこには一切の笑いが入り込む隙などありません。つい笑おうものなら即座に無表情のままブラスト・ビートで全身を容赦無くタコ殴りにしつつギター・スウィープで思考回路を破壊し、倒れたところをツーバスで踏みにじり、鋼鉄リフで肉から骨まで切り刻んでやるといわんばかりの恐ろしいまでの殺気。前作を上回る異常なまでにヘヴィなスロー・パートもブラスト・ビートとのダイナミズムを際立たせており、全メンバーが一丸となってテクニックをぶつけ合う姿にはある種の神々しさすら感じられます。前作を超える聴き応えを実現した文句なしの力作。

"Condemned"
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RATING: 8/10

フィンランドのメロドラマ・ロック・バンド(勝手に命名)が80年代のアメリカンHR全盛を支えたデズモンド・チャイルドをプロデューサー兼共同ソングライターに迎えて制作した3年ぶりの7作目。前作でラウリ・ヨーネンの哀愁ヴォイスに特化した路線にフォーカスしてきましたが、日本盤ライナーによればデズモンドがバンドのファンだったということもあり、もはや誰が関わろうともヨーネンの声が存在する限り曲の方向性が変わるはずもなく、デズモンド起用の効果はよりゴージャスかつ幅広い層に向けられたアレンジに表れているような気がします。これにより表層的な重さが前作より薄れたため、即効性という点では一歩後退した感もありますが(僕も最初に聴いた時はやや地味かと思いました)、逆に聴き込むほどに良さが染み渡ってくる仕上がりとなっています。

日本盤には"Livin' In A World Without You"の、J-WAVEあたりでかかってもおかしくない都会的なリミックスを含む2曲のボーナスが追加されていますが、それよりも外盤シングルのB面に入っている"Livin'~"のアコースティック・ヴァージョンが秀逸。まるで韓流ドラマの主題歌かっていうぐらいに掛け値なしに泣ける。何故これを日本盤ボーナスにしなかったのか、それが本当に悔やまれます。これを日本未発表のまま埋もれさせるにはあまりに勿体無いので、下のYouTube動画でどうぞ。

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RATING: 8.5/10

オレンジカウンティの6人組がデヴィン・タウンゼンドをプロデューサーに起用して制作した2年半ぶりの4作目。今作よりツイン・ギターの片割れが元I KILLED THE PROM QUEENのジョナ・ウェインホーフェンに交代しています。前作THE TRUTHではシンフォニックなキーボードとブルータリティはそのままに、 曲調はオーソドックスなメタルコアに近づき、ヴォーカル面ではよりメロディアスなアプローチを強め、僕は「1段上のステージに上がった」と評しましたが、当のバンドにとってはこの変化は本意ではなかったようで、今作では再び2作目以前のシンフォニック・ブラック+ニュースクール・ハードコア路線に回帰。前作での鬱憤を一気に解放するかの如く激しく暴れまわるサウンドが全編で展開されますが、今作での最大の変化はなんといっても音作り。前作までのガリガリしたギター・サウンドから一転して図太く音圧を増して圧殺感を強め、そこにさらに存在感を増したキーボードが重なって不穏さと耽美を演出します。音の響きにこだわってバンドのポテンシャルを大きく引き上げる、これこそまさしくプロデューサーとしてのデヴィン・タウンゼンドの真骨頂。荘厳なイントロから一気にスラッシュ・リフとともに激走へ雪崩れ込み、ピアノからブラストへと転じてメロディアスなサビへとつながっていく"There Was A Flood"は今作で示された美点を1曲に集約したキラー・チューン。文句無しにバンドの最高作です。

10/15 追記: YouTube動画でアルバム・トレイラーを貼ってみました。
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RATING: 9/10

カリフォルニア出身のデスコア・バンドによる2年ぶりの3作目。前作「THE PRICE OF EXISTENCE」はデスコアとして申し分のないブルータリティと破壊力を備えた逸品でしたが、今作では前作の一部で垣間見せていた叙情性をさらに拡大するとともに、音圧、テクニック、ブルータリティのすべてがスケール・アップ。単なるデスコアの枠にとどまらないエクストリーム・メタルとしての普遍性をも獲得した感があります。テクニカル度を一気に増した弦楽器陣も決して技巧の垂れ流しに走らず、緊迫感の演出のみにフォーカスしているところもさることながら、叙情性が決して甘い方向へと流れず、デスコアとしてのブルータリティを一切スポイルすることなくあくまでもミリタントな格好良さへと収束していくのが何とも頼もしい。これに伴ってドラマ性も増していますが、曲単位ではなくアルバム単位でドラマティックな流れを作ることにより、全12曲で36分(短いインストSEもありますが)とコンパクトにまとめて一気に聴き通せるところが実にクール。個人的には2008年裏名盤の筆頭候補と言いたくなる、より幅広い層へのアピールが望めるハイ・クオリティな傑作に仕上がっています。
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RATING: 8.5/10

2005年にツアーをやってよっぽどウマがあったのか、遂にアルバム制作にまで乗り出しましたが、そのニュースが伝わった時点で賛否が真っ二つに割れた注目のアルバム。個人的にはこの3人でQUEENと名乗らず、わざわざ"+PAUL RODGERS"ってつけてるんだから別にいいじゃん、と思っていましたし、それにQUEENFREE(とそれ以降のポール・ロジャース)も共に大好きな自分にとっては凄く楽しみな1枚でした。

僕は「80年代QUEENのロックな側面をクローズアップしてそこにロジャースのスタイルを融合した」ものを予想していましたが、実際の音はむしろその逆で、「ロジャースの得意なブルース・ロック/R&R(勿論BAD COMPANY的)に後期QUEENっぽい味付けを加えた」という感じで、いずれにせよ3人が顔合わせて気持ちの赴くままに自然に出てきた音を表したというのが適切な表現です。意外だったのはロジャー・テイラーが昨年末に発表した"Say It's Not True"の前半部で歌っている以外、ブライアン・メイもテイラーも一切歌っていないことで、1曲ずつでいいから2人がそれぞれリード・ヴォーカルをとる曲があればもっとQUEENっぽくなったのではないかとも思いましたが、ロジャースの歌いっぷりからすれば、それは些細な問題ではないでしょうか。となると、QUEENフリークにとって今作への評価を決めるのはロジャースへの思い入れの度合い、その一点に尽きるでしょう。ということは、ロジャースのファンにとっては今作は文句無く買い、ってことです。フレディ存命時のような、一発で耳を捉える即効性はありませんが、逆に聴き込むことで味わいが増す、ロジャースの本領発揮といえる1枚です。

なお、今作にはiTunes Store限定のボーナス・トラック"Runaway"も用意されていますが、これがまたオールディーズ風味たっぷりのR&Rで、後半に進むにつれて徐々にQUEENっぽさが増していくところが面白い曲です。
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RATING: 8.5/10

先頃福田首相が辞任を発表しましたが、あれほど辞めろと言われていたにもかかわらず、いざ本当に辞めたら「無責任だ」という批判の大合唱。じゃあいったいどないすりゃいいねん、という気にもなってくるもんですが、メタル界で福田首相のような立場に立たされていたのがMETALLICAではないでしょうか。病的なまでのバッシングを食らった「LOAD」「RELOAD」の歌モノ偏重路線から一転して「速くて過激なMETALLICA」を取り戻した「ST. ANGER」でもその極端さ故に旧来のファンの支持を取り戻すことはできず(僕はその3作も好きな音ではありましたが)、2006年ツアーでの「MASTER OF PUPPETS」完全演奏を機に「昔に戻れ」という声は大きくなりますが、初期のロゴが復活してファンが望む音楽性への回帰が既定路線となったら、今度は「ファンに迎合しやがって」という声も出てきたわけで、やはりじゃあいったいどないすりゃいいねん、といったところですが、さて実際に出てきた音はどうでしょうか。

最初に音源公開された"The Day That Never Comes""Fade To Black""Welcome Home""One"を混ぜて「LOAD」期のムードでプレイしたような曲だし、他にも"Fuel""Wherever I May Roam"を思わせるリフが飛び出すなど、確かに過去の作品を彷彿させる要素が満載ではありますが、それでいて実はその過去のどのアルバムにも似ていないというのがミソ。叙情性やドラマ性を最小限にとどめてリフに次ぐリフの繰り返しでメタルの核だけを叩きつけるところは1stや前作に通じるものを感じさせるし、今作でいわれる“原点回帰”のポイントはまさしくそこにあると見ます。さすがに初期のガムシャラなスピリットまでは望むべくもありませんが、そこは前作を通過したからこそ生まれた激しいリフとビッグなドラム・サウンドが補っている感もあります。前作の一斗缶を全力で叩いたかのようにガンガン鳴りまくるスネアの音も僕は嫌いではありませんでしたが、今作にはこっちの生っぽい音のほうが明らかに合っています。過去に目を向けつつ、過去にはなかった荒っぽい勢いで一本筋を通して更にその先をも見据えたような姿勢は、ファンが望む初期路線と現在進行形としてのバンドの表現欲求の間の着地点ともいえるかもしれませんが、あれこれ考えるよりも先にこの格好良さに身を任せて楽しむ、というのが一番いいんじゃないでしょうか。実際"My Apocalypse"はキラー・チューンだと思うし。

僕が購入したのはデジパック仕様のSHM-CD盤ですが、先にiTunesでダウンロードして聴いていた"The Day~""My Apocalypse"で比較すると劇的な音質の変化こそありませんが(そもそもSHM-CDにそういうのは期待しないほうがいいと思いますが)、ヴォーカルとリズム・セクションの分離が良くなり、かつクリアに聞こえるような感じです。今作と同時に全バック・カタログがSHM-CD化再発されましたが、それらもいずれ聴いてみたいものです。
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RATING: 7.5/10

モントリオール出身の6人組によるデビュー作。モロにLAメタル的なジャケットと裏ジャケのグラムなバンド・ショットを見て、何でまたCentury Mediaはこんなバンドと契約したんだ、と思いましたが、実際の音は想像とは若干異なっていました。恐らく多くの店頭でキャッチとして掲げられるであろう「LAメタル+メタルコア」という形容は当たらずも遠からずといったところで、突進力の強いストロングなメタル・サウンドにトランシーなキーボードとフラッシーなギター・ソロ(これがやたらと巧い)が絡み、噛み付き型のシャウトとキャッチーな歌唱を使い分けるヴォーカルが乗る音楽性からは、「CHILDREN OF BODOMENTER SHIKARIのキーボードとユーロビート系のヴォーカルが入ってツイン・ヴォーカル体制になった(実際はヴォーカルは1人ですが)」としか言いようのない奇妙な形容をしたくなります。しかしこうして書いているとLAっぽいところが全く無いですね。

1曲だけ完全にアメリカンHRな曲もありますが、パーティー・ロックの色合いを強く押し出しつつも歌メロの質は日本人好みのハッピーな感触とは異なるため、日本ではCOB、LAメタル双方のファンから敬遠されそうな気がしますが、硬派なサウンドにベタなキャッチーさを盛り込んだ方向性は面白いし、80年代グラム・メタルの軽薄なハッピーさとは一線を画した、真摯にパーティー・ロックに取り組む姿勢は個人的には買いたいところです。
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RATING: 8.5/10

これまでほぼ年1枚ペースでアルバムをリリースしてきたエクストリーム・スピード・メタル多国籍軍が初めて2年半以上という長いスパンを置いた4作目。前作ではブラスト・ビートに乗せて歌うという荒業まで披露し、ジャンルの枠を超えたインパクトを与えることに成功しましたが、今後音楽性の鍵になると思われたブラスト・ビートは意外にも減り(ブラストに乗せて歌うパートもなし)、初めてミドル・テンポの曲にもトライするなど(途中から速くなりますが)、曲調は相変わらずのDRAGONFORCE節ながら、物理的なスピードという点では前作より若干落ちる感もあります。前作に対する「速いだけ」という批判に「このスタイルをやっているのは俺達だけだ、文句あるか」と開き直りながらも、多少は配慮したんじゃないかと思えます。

しかし前作から増量された、バンド・サウンドの間に必要以上に詰め込まれたゲーム・ミュージックをルーツとするシンセ音やプログラミング、これまた相変わらず弾きまくりのソロが体感速度を上げる役割を果たしており、前作までの彼らがひたすら物理的なスピードを追求していたとするならば、今作での彼らは「いかにして実際の速さ以上に曲にスピード感を持たせるか」というスタンスに変わってきたような気がします。ブラストが減ったのもその結果でしょうか。そのシンセとプログラミングは次作でさらに発展する余地を残しており、毎回ネタ切れを危惧されながらテンションとストイシズムで強引に乗り切ってきた彼らが、ただでさえオリジナルだったところからいよいよ孤高の存在になろうとしていることを実感させます。今やDRAGONFORCEでしか味わえない、スピードとメロディが生み出す高揚感は未だ鮮度を失わず。LOUD PARKが楽しみですね。
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RATING: 8/10

無料配信という形で最初に公開されたタイトル・トラックがブラスト炸裂しまくりの、SLIPKNOTのパブリック・イメージにほぼ忠実な曲でしたが(しかし本編ラストの曲を最初に公開するというのも凄い)、そのイメージのまま聴き始めると肩透かしを食らうことは確実の4年ぶりの4作目。出だしこそいかにもな激烈さで襲い掛かってきますが、曲が進むにつれて前作のダークかつメロディアスなスタイルをより深化させた、エモーショナルともいえる路線へと踏み込んでいきます。ラス前の"Snuff"に至ってはもはやバラードとしか言いようがありませんが、それも含め、さながらコリー・テイラーがSTONE SOURで築いたスタイルをSLIPKNOTのフォーマットに持ち込んだかのような趣です。ファンの求めるものよりも自らの表現欲求に忠実である道を選んだ、というべきか。

作風はあくまで前作の流れを順当に踏襲したものであり、よりダークな重さとグルーヴを強調した音作りも含めて、目指す方向性には一切の迷いが無いことが分かってホッとする内容ではありますが、同時に、かつて「Fuck it all! Fuck this world! Fuck everything that you stand for!!」とか「If you're 555, then I'm 666!!」と抑え切れないほどの衝動を爆発させてシャウトしていた時からもうかなりの年月が経ってしまったんだなぁ...仕方ないんだけど、という気持ちを抱く人が続出しそうな(もうしてるか)気配を漂わせる1枚です。個人的には彼らは上手くやれているとは思いますが、SLIPKNOTとしてコレ演るなら、STONE SOURはもう要らないような気が...単純にそういう類の問題ではないということは判りますが。
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RATING:8/10

前作「PITCH BLACK PROGRESS」リリース後の活動状況が殆ど日本に伝わってこなかったこともあって、いつの間にか出ていたという感が強い2年ぶりの3作目。個人的にはやたらと洗練され過ぎという印象があった前作の路線をそのままに、1stのベタなメロディと攻撃性を戻しにかかった結果、前作を大きく上回る聴き応えを獲得したといったところです。このバンドの最大の特徴である、クリスチャン・アルヴェスタムのとても同一人物が歌っているとは思えないディープなグロウルとAORシンガーばりのクリーン・ヴォイスの振り幅もさらに広がり、近作でのMERCENARYあたりにも通じる、メロディック・デスから“デス・ヴォイス入りパワー・メタル”への移行を果たしたといえるでしょう。もうひとつの看板であるテクニカルなギター・プレイも増量され、現時点でのバンドのポテンシャルはほぼ出し尽くしたのではないでしょうか。

まあ、彼らについては1stのインパクトが依然として強すぎるため、爆発力のあるサビやリード・ギターを伴ったキラー・チューンが今作にも無いことが少し不満ではあるものの("Ghost Prototype I"はイイ線行っていると思いますが)、完成度は間違いなく過去最高でしょう。ライヴは殆どやっていないようですが(ヴォーカルをライヴで再現できないから?)、ここらでライヴでもやればもっと人気出ると思うんだけどなぁ。その辺が勿体無いですね。
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RATING: 8/10

CAVALERA CONSPIRACYのアルバム・リリース時に既に完成目前であると伝えられていた3年ぶりの6作目。既に前作の時点で目立っていたスラッシュ・メタル化が今作でさらに進行、CONSPIRACYとほぼ同時期に曲が書かれていただろうせいもあり、感触としてはCONSPIRACYに従来のワールド・ミュージック要素を絡めていった...というところでしょうか。

しかしながら今作に関しては前作では少なめだった、SOULFLYの作品には途中で必ず登場するアンビエント・パートが再び増量され、個人的にはそれがどうしても勢いを殺いでいる気がしてなりません。前作やCONSPIRACYで縦横無尽の活躍を見せたマーク・リゾの超絶ソロが控え目なのも残念でした。まあ、リゾに関しては一部のファンの間では「こんな速弾きいらねー」「ウザい」と思われているようなので、歓迎する向きもいそうな気はしますが。しかしやはり突撃パートは文句なく格好良いし(往年のSEPULTURA的な、強引に疾走にもっていく展開が復活しているのにもニヤリとします)、ミドル・パートのリフにも聴くべき点は多いので、何だかんだ言っても結構聴いてしまいそうな1枚ではあります。今作は限定版と通常版でボーナス曲が異なっていますが、買うなら疾走スラッシュ・チューンの"Mypath"の入った限定版ですね。
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RATING: 8/10

MNEMICのギョーム・ビドー(Vo)、LYZANXIAのデヴィッド&フランク・ポトヴィン(ともにG)、SCARVEのロイク・コリン(B)、SOILWORKのダーク・ヴェルビューレン(Ds)というフランス人ミュージシャンによるプロジェクト作。ポトヴィン兄弟以外の3人はかつてSCARVEで一緒に活動しており、ちょっとした同窓会的雰囲気もあります。

音楽性はメロディック・デス色を極力排したヘヴィかつグルーヴィなリフに未来的なシンセ音が絡み、そこにビドーの咆哮とエモな歌唱を使い分けるヴォーカルが乗る、大半の日本人が拒否反応を示すであろう要素が満載の現在進行形メタルで、各メンバーの本業バンドの中ではMNEMICに最も近い...というより、MNEMICとさして大差ない感も。しかしこちらのほうがミドル・テンポ主体でビドーのヴォーカルをより前面に出しており、叩きつける豪快なリフとキャッチーな曲構成によるスポーティな機能性に焦点が絞り切られた印象で、良い意味でプロジェクトらしい肩の力の抜け方を示した、非常に気持ち良く聴ける1枚です。
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